GAFAMとインテル、サムスンの業績に明暗
11月1日までに、グーグル、アップル、メタ(旧フェイスブック)、マイクロソフト(GAFAM)、米インテル、韓国サムスン電子など、世界の主要IT先端企業の7~9月期決算が出そろった。それによると、各社ともAI=人工知能分野で成長を目指す戦略が鮮明化する一方、ビジネスモデルによる業績の格差が明確になった。
今回の決算を見ると、大手ITプラットフォーマーは、設備投資の増加ペースに収益率の伸びが追いつかず業績は期待されたほど伸びていない。半導体分野では、一部の企業でAIの学習に必要な最先端チップ供給が遅れていることがわかる。
特に、米インテルや韓国サムスン電子は、開発から製造までを行う垂直統合型のビジネスモデルをとっていることもあり、思ったほど収益性が上がっていない。それに対して、“ファウンドリー=受託製造”の水平分業型のビジネスモデルのTSMC(台湾積体電路製造)などの業績は極めて好調だ。
王者の座はインテルからエヌビディアへ
今後もAIの成長ストーリーは続くと考えられる。高い成長を実現するため、垂直統合ではなく、AIの開発、チップ設計などソフトウェアの機能ごとに特定分野に特化し、分業や提携を重視する企業は増えるだろう。米国株式市場では、チップの設計開発に取り組むエヌビディアが、自前で設計から生産、販売を行うインテルに代わってニューヨークダウ工業株30種平均株価の構成銘柄になったのは、そうした変化の象徴だろう。
今年7~9月期、主要IT企業であるGAFAMの中では、アップル以外が増収増益を実現した。ただ、データセンター建設などAI関連分野での設備投資額は増加傾向にある。マイクロソフトは200億ドル(3兆円)のAI関連設備投資を実施した。
アマゾン、メタ、グーグルの3社合計で設備投資額は約650億ドル(約10兆円)、前年同期から7割増だ。いずれの企業も商機を逃すまいと投資を積み増している。