34年ぶりに日経平均株価が最高値だが、死角があちらこちらに見え隠れしていると警告する専門家は少なくない。ジャーナリストの浅井秀樹さんは「株価は今後、調整局面に入る可能性がある。日経平均株価の上昇が急ピッチだったことや、不動産バブル崩壊の中国経済の影響、海外投資家が日本株の売り越しに転じる可能性、また、3月末の決算期末に向けて巨額資金を運用する組織が売りに出る可能性がある」という――。
日経平均株価の終値を示すモニター=2024年2月26日午後、東京都中央区
写真=時事通信フォト
日経平均株価の終値を示すモニター=2024年2月26日午後、東京都中央区

日経平均34年ぶり高値更新は急ピッチ過ぎ…「下落」可能性大

株式市場が活況で、日経平均株価は34年ぶりに最高値を更新した。企業業績が好調と思いきや、経済が減速する中国での事業不振を受けて希望退職者を募集する日本企業も出ている。最近の株価上昇には「死角」もあるとの指摘が専門家から相次いでいる。

日経平均株価は2月22日に3万9000円台に乗せ、バブル期の1989年12月につけた最高値3万8915円を更新した。円安で輸出産業を中心に企業業績が好調など、株価上昇にはさまざまな要因があるようだ。ただ、上昇があまりにも急ピッチで、目先は調整局面(株価の値上がりが続いた後、一時的に下落)を迎えるとの見方も出ている。

日本企業は業績好調ばかりでもない。大手電機メーカーのオムロンは2月26日、国内外で2000人規模の人員削減などを柱とする構造改革プログラムを発表。中国経済の減速で、工場などで使う制御機器の事業業績が悪化しているのだ。世界第2の経済大国で、不動産バブルが弾けた中国が抱える問題はやがて、さまざまな形で日本を含めた世界経済に大きな影響を及ぼすとみる指摘もある。

「日経平均株価には過熱感があり、目先は調整する可能性があります。株価は少し、しゃがんでから上値に向けて、再挑戦したほうがいい」

こう話すのは香川睦・楽天証券チーフグローバルストラテジスト。日経平均株価が今年中に4万円超えとなるシナリオには変わりないが、当面の株価は調整局面になる可能性があるとみている。

現在の日経平均株価は「日本経済への期待先行の表れで急ピッチに上がってきた」と話すのは、みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部の酒井才介主席エコノミスト。特に、「中国経済は24~25年にかけて減速基調を強め、調整が長引き、日本経済への期待が剝落する可能性があります」という。

今後の日本経済や株価動向を見るうえで、具体的にどんなリスクが潜んでいるのだろうか。香川さんは中国リスクを含め、3つほどあると指摘する。