「これが最初で最後かもしれない」と考えてみる

一期一会は、もともと茶道の世界で使われる言葉。亭主と客が過ごす茶席の時間を一生に一度のことと思って大切にするという意味です。

一度出会った二人が次に出会っても、前回別れてから時間が経過し、それぞれ経験を積んでいるので、考え方も言動も変化します。その中で、毎回を一期一会の出会いと感じれば、その時間がいとおしく、かけがえのないものになります。

仕事に追われ、家族と過ごせない人に「もっと丁寧に生きたい」と言われたことがありました。その方法を考えた結果、“いとおしさ”と“かけがえのなさ”を感じないと丁寧に生きられないという、一期一会の精神と同じ結論にたどり着きました。

「最初だと思えば謙虚になる。最後だと思えば丁寧になる」という言葉があります。最初と最後を一緒にして、「これが最初で最後かもしれない」と思えば一期一会の精神に適い、謙虚で丁寧な生き方ができるでしょう。

静かな茶席でもなければ一期一会を思うのは難しいでしょうが、丁寧に生きるために、いとおしさやかけがえのなさに気づく回数を、少しずつ増やしたいものですね。

あなたは「裏切られる覚悟」を持っているか

「親友だから誰にも言わないだろうと思って話したのに、それを別の人に言っていたのを知って裏切られた気がして、とてもショックだった」と訴える女性がいました。

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私は「『親友は打ち明け話を他言してはいけない』。それがあなたの親友の定義なら、その人は親友ではなかったのです。裏切られたことより、勝手に親友だと思い込んでいた自分の人を見る目のなさにショックを受けたほうがいいかもしれません」と少し突き放した言い方をしました。

彼女は「でも、人って裏切ってはいけないでしょ」と食い下がります。人は信頼関係で成り立っているのだから裏切ってはいけないと、真っすぐに信じている彼女はとてもいい人です。友達にするならこういう人がいいと思います。私もかつては彼女のように信じていました。

しかし、人は裏切ります。それも意外と簡単に。相手には裏切った意識がないこともあれば、仕方なく裏切る場合もあります。相手の事情が変化したのですから仕方ありません。信頼に応えるのは大切ですが、人は裏切る――私はそう覚悟しています。