投資ファンドの運営になり出店ペースを加速
大きな転機は、2008年、コメダが加藤氏から投資ファンド「アドバンテッジパートナーズ」へと事業承継されたことである。買収したビジネスを大きく成長させて企業価値を上げてから売却することで大きな利益を狙う投資ファンドの運営となり、コメダの出店ペースは加速していき、2013年には500店舗に到達した。同年、コメダは別の投資ファンド「MBKパートナーズ」によって買収され、さらに全国チェーンへと飛躍する道を駆け上がっていくことになる。
MBKパートナーズの下では、日本マクドナルドのCOO(最高執行責任者)を務めた外食産業のプロフェッショナルである臼井興胤氏がコメダの新社長に就任し、社員にはストックオプション(株式購入権)を与えるなど報酬制度を見直して優秀な人材が外部から集められた。
2016年には東証一部上場を果たした
この新陣営によって、創業以来、ほとんど手を加えられてこなかったコメダのメニューや価格が改革された。マーケティング予算を大幅に増やして大規模な消費者調査を実施し、その分析に基づいて価格を改定したり、定番商品「シロノワール」に偏りすぎていたデザートメニューをリニューアルしたりと、ニーズを的確に捉えて消費者を満足させるためのマーケティング改革が行われた。そして、FC店のマーケティング支援を専門的に行う「スーパーバイザー」の人員を3倍に増やし、改革を店舗網のすみずみまで行き届かせた。
こうした改革が軌道に乗り、コメダは更なる成長路線を突き進んでいった。2014年には株式会社コメダを完全子会社とする株式会社コメダホールディングスが設立され、2016年には東京証券取引所市場第一部への上場を果たした。2019年には青森県へ出店し、これによって日本の47都道府県すべてへの出店を実現している。また、上海、香港、台湾、インドネシアなどの海外出店も進められている。