「くつろぎやすい店づくり」が徹底されている

1968年の創業から45年をかけて500店舗に到達し、その後、わずか10年で1000店舗にまで到達して、大手全国チェーンの一角となったコメダ。この店舗数の急拡大は、お店そのものに魅力がなければ成り立たない戦略だ。スターバックスやドトールなどの強力なライバルがいるにもかかわらず、急成長を実現できた背景には、コメダが「3つの顔」を併せ持つことで幅広いお客のニーズに応えて満足させられる点があげられる。

コメダの1つめの顔は、他にはない特別な居心地の良さを提供してくれる「カフェチェーン」だ。創業以来、コメダは「喫茶店を自宅の居間や会社の応接室の延長線上で使う名古屋のお客さんと向き合ってきた」※4と語られるように、おいしさ、おもてなし、居心地にこだわった「誰もがくつろげる街のリビングルーム」として店づくりが行われている。

店の内装、色味、イスやテーブル、周りの視線から守るパーテーションや席同士の距離確保など、老若男女がくつろぎやすい店づくりが徹底されている。また、来店時の出迎えから注文・提供・会計、そして退店時の見送りまで、従業員によるおもてなしのフルサービスが行われる。

「ファミリーレストラン」としての顔も持つ

コメダは、個人席、コンセントやWi-Fiの完備など、個人での仕事利用にもしっかりと対応してくれるなど、大手カフェチェーンに求められる環境整備に抜かりはない。それに加えて、洗練されすぎている、若者向けに特化している、長居しにくくてゆっくりくつろげない、セルフサービス、といった他のカフェチェーンの特徴とは明確に異なる、コメダならではの居心地の良さを、大手カフェチェーンになっても守り続けている。

コメダの2つめの顔は、家族ニーズにも応えられるコスパの高い「ファミリーレストラン」だ。コメダの大きな特徴として、想像やメニュー写真よりも実物が大きい、デカ盛りフードメニューがある。お客に驚きと満足を届ける、コスパの高いフードメニューは高く支持されている。そして、このフードの味が、激辛やクセの強いものではなく、広く親しまれやすい味付けになっている点も特徴的である。

コメダ珈琲店の「カツパン」
画像提供=コメダホールディングス
コメダ珈琲店の「カツパン」

クセの強い味付けは、たまに食べる分には良いが、週に何度も利用したいとは思われにくい。また、大人は好きでも、子供やお年寄りには敬遠される味付けでは、幅広いお客からの利用には適さない。サンドイッチ、カツパン、ハンバーガー、スパゲッティー、グラタン、そしてデザートなど、コメダのフードは老若男女問わず、万人に愛されやすい味であり、だからこそ家族連れが「ファミレス」として頻繁に利用しやすいお店にもなることができている。