会社のアクシデント対応にも「内向型」人材が欠かせない

すぐに反応せず、注意深く周りを観察して動くことで捕食されずに、身を守り、進化してきたのではないかと推測しています。これは私たちの今の暮らしに当てはめても納得できる仮説です。

会社でも危機につながりそうなアクシデントが起きた場合、誰もが勢いよく反応してしまったら致命傷を負いかねません。例えば、自社の製品の不具合が相次いで問題になったとしましょう。社内調査の結果、自社の品質に過失はなかったとします。

ただ、だからといって、記者会見などで「うちの製品に問題はない」と反射的に反応してしまったら、批判を浴びるでしょう。状況を観察して、分析して、行動する人がいることで危機を回避する可能性が高まります。

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自社の品質に問題がなかったのに、なぜ不具合が起きたのか。もしかするとユーザーがこちらの意図していない使い方をしたのではないか、想定していない条件下での使われ方があったのではないかなどと観察し、分析した上での発言が求められます。こうした過剰に反応しない内向型の人が、組織の円滑な運営には欠かせません。

「外向型の上司」×「積極的な部下」の組み合わせは最悪

外向型が衝突して、対立してしまうのは多くの論文で示されています。そのひとつにアダム・グラント、フランチェスカ・ジーノ、デビッド・A・ホフマンがアメリカの宅配ピザチェーン57店を対象に実施した調査があります。

3人は「外向的な上司は積極的な従業員と衝突する」と仮説を立て、実験しました。最初に各店舗の上司に自分の外向性を、主張の強さ、饒舌さ、大胆さ、活力の観点から評価してもらいました。

一方で、各店舗当たり平均6~7人の従業員にはアンケートに協力してもらい、チームとして改善の提案、店舗の戦略、より良い業務プロセスの構築などにどれくらい関与しているかを答えてもらいました。

その後、7週間にわたり各店舗の利益を調査した結果、従業員が非積極的で上司が外向的な店舗では、内向的な上司の場合よりも利益が16%高くなりました。

ところが、従業員が積極的で上司が外向的な店舗では内向型の上司の場合よりも利益が14%低くなったのです。予想通り、外向的な上司と積極的な部下、つまり外向型同士は組み合わせとしては極めて不利であるという結果が導き出されました。