会話の流れを「得意な分野」に持っていく

僕が、歯科医院、美容院、居酒屋チェーン、整体院などにコンサルティングや研修にお伺いしているのも、雑談の中で、相手の悩みや問題などを引き出しているからなのです。

みんな、僕に問いかけられることで、自分の悩みや問題を自分で話してくれます。そこで僕から「その問題を解決するのが、僕の仕事なんですよ」と言われると「お! ちょうどいいところに、ちょうどいい人がいた」となり、自然と商談になっていくのです。

「雑談をすればいい」と言っても、この雑談が「売れる」につながっていかないと意味がないものになってしまいます。たとえば僕の場合、「売り上げが上がらない」「上司と部下の関係が良くない」「会議が盛り上がらない」などは、得意なテーマです。しかし、お金、法律、契約、マナー、マニュアル作成、労務管理などのテーマは苦手なので、話せなくなってしまいます。

そこで僕は、相手との話題を、自分が得意な分野にもっていくようにしています。方法は簡単で、問題を聞き出すときに「他にありますか?」と話題を広げて、自分が得意なテーマになるまで、答えを引き出していくのです。ここまでの話題の下地もあるので、1、2回「他にありますか?」と問いかけると、自分のテーマに沿った問題を聞き出すことができます。

そうなったら、その話題を取り上げて、「現状の整理」に移っていくと自然に話題を絞っていけますね。

写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
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売るべきタイミングを見極めることができる

また、前述したように「最近、僕の周りで◯◯で悩んでいる人が多いのですが、あなたはどうですか?」といった問いかけをすれば、その話題にしかならないので、簡単に自分の望むテーマの話ができます。

もし、この段階で、自分が得意なテーマ(問題)が出てこないときには、目の前にいる人は、今はまだお客様になるタイミングではないのかもしれません。その場合は無理して売ろうとしても売れませんし、相手が話したいことを聞く時間にするといいですね。

問いかけをしても「悩んでいることも、叶えたいと思っていることもない」と言われることがあるかもしれません。それは、「本当に悩んでいることや叶えたいことがない」のではないのです。本当はあるのです。