信頼関係を構築できる人は何をしているか。コミュニケーション心理トレーナーの松橋良紀さんは「雑談の達人がやっている『ペーシングの技術』には、言葉、声、ボディランゲージの3つの要素がある。中でもボディランゲージはもっとも効果がある。一番やってほしいのが、相手が話しているときのアゴの動きをよく観察したうえでのアゴのペーシングだ。私が初めてこれを学んで、営業の場面で使ってみたら、まるで魔法にかかったように、お客様がべらべらしゃべり出した」という――。

※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

おしゃべりをする人たち
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです

言葉、声、ボディーランゲージ…相手の波長に合わせたペーシング

信頼関係を築くためには、ペーシングという心理技術が不可欠です。ペーシングとは、相手のペースに合わせることをいいます。聞く技術というよりも、「相手の波長に合わせる技術」「エネルギーを合わせる技術」という方が正確です。

ペーシングには3つの要素があります。言葉、声、ボディーランゲージです。

①言葉のペーシング

相手の言葉をリピートして、そのままオウム返しをする方法です。

「この前さ、浅草に遊びに行ったんだよ」
「へえー、浅草に?」
「そうそう、雷門の提灯、大きくてびっくりしたよ」
「へー! そんなに大きいんだ⁉」

大事なのは、相手が話したいことを邪魔しないことです。そのためにも自分の言葉に言い換えたくなる衝動と、あれこれ質問をしたくなる衝動を抑えることです。相手の言葉をリピートして返していると、この2つの衝動を自然に抑えることができるようになります。

②声のペーシング

声の要素は、「声の大きさ」「声の高さ」「声のテンポ」があります。

相手が声を張って話しているのに、こちらがボソボソ話したら音量がずれています。

また、声の高さも合わせます。そのため、相手と同じ音程で話すようにしましょう。

一番大事なのは、声のテンポ合わせです。相手が早口なら早口で、ゆっくりのんびり話す人ならゆっくりのんびりのテンポで話します。このように、相手に合わせた相づちや話し方をしていると、自然に相手は饒舌になっていきます。