相手の意見が自分と違かったら、どう対応するべきか。コミュニケーション心理トレーナーの松橋良紀さんは「コミュニケーションがうまい人は、理解ができないことがあったり、大事にしていることを否定されても、否定で返さない。相手が自分と同じ考え方を持ってくれないという悩みは、課題を分離できていないことから起きる。お互いの選択の自由を受け入れると、自由な人生に変わる」という――。

※本稿は、松橋良紀『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

資料を見せながら顧客に説明をするビジネスマン
写真=iStock.com/Ralf Hahn
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「子どものために」やった親の声かけが裏目に出る理由

うまく雑談できる人は分離話法を使い、
できない人は反論する。

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

この言葉は、心理学者アルフレッド・アドラーの言葉です。

ベストセラーになった『嫌われる勇気』という書籍で、アドラーが提唱した考え方について紹介します。

アドラーいわく、「個人だけで完結する悩みなどというものは存在しない」

つまり、他の人間がいなければ悩みが生まれないと言います。

例えば、「背が低い」、「収入が低い」などの悩みは、他者との比較や、対人関係がなければ存在しないということです。

またアドラーは、「あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むことによって引き起こされる」とも言います。

たとえば、子どもが勉強しないで悩んでいるお母さん。これは誰の課題なのか? もちろん子どもの課題です。お母さんの課題ではありません。お母さんが勉強をしたところで意味がありません。

なのに、親が「勉強しなさい」と命じるのは、他者の課題に対して、いわば土足で踏み込むような行為。親は「子どものために」と思ってやっていたのでしょう。

でも、「親に無理やり押し付けられた」「自分の言い分を聞いてもらえなかった」と言って、孫がいるような年齢になっても親を恨み続けている人をたくさん見てきました。