「特に悩みはない」と言われたらどう返すべきか
他にも、「最近、僕の周りで◯◯で悩まれている人が多いのですが、◯◯さんはどうですか?」と問いかけることもあります。こう問いかけると、「たしかにそうだね。私も同じような悩みがあるな」と自分の中に悩みがあることに気づいてくれます。
その後、「それはどんな悩みなんですか?」と問いかけると、具体的に話してくれます。悩みではなくて「願望(夢)」の場合もあります。悩みと願望は、実はほぼ同じものです。それを、「悩み」と捉えるか、「願望」と捉えるかは、相手次第です。
たとえば、「やせたい」「モテたい」「いい仕事がしたい」「もっと収入を増やしたい」「遊びたい」など、これは悩みや問題でもあるし、願望や夢でもあると言えますよね。もし、「何か悩みがありますか?」と問いかけて「特にない」という反応のときは、「何か叶えたいことはありますか?」と問いかけると、答えが返ってくることがあります。
手段ではなく目的にアプローチする
悩み(問題)を相手から聞き出したら、次は「理想の姿」を話題にします。
先ほど紹介した「売り上げは上がっているけど、社員の人間関係に悩んでいる」と教えてくれた社長に、僕は、「そうなんですね。どうなったら最高ですか?」とさらに問いかけました。するとしばらく考え込んで、「強制的にでも時間を取って、みんなが思っていることや、感じていることを話し合う時間があるといいな」と話してくれました。
以前、洋服屋さんに行ったときのことです。店員さんが、「服を買って、どんな感じになったら嬉しいですか?」と聞いてくださったんですね。そこで僕は、「講師をしているので、お客様からは、発想が自由で、アイデアがたくさんあって、信頼できる人と思われたいんです。なので、服でそんな印象を与えられたら嬉しいです」と答えました。店員さんは「こうなりたい」という僕の目指す「理想の姿」を引き出してくれたんです。その後、一緒にそのイメージになるような服を選ぶことになりました。
「どうなったら最高ですか?」というのは言い換えると、「何のために?」です。以前、花屋さんで「なぜ、花を買おうと思ったんですか?」と聞かれて「元気が出るように」と答えたことがあったのですが、それも同じです。「理想の姿」を引き出してくれています。
このように、「自分にどんな悩みや問題があるのか」「どうなりたいと思っているのか(理想の姿)」を相手に問いかけ、自分の言葉で語ってもらうことで、現状が整理されて、解決したいという気持ちを引き出すことができます。