「理想の姿」がイメージできれば商談につながる

社員が100名くらいの会社の社長と出会い、飲みに行ったときのことです。

「最近、これまでと同じやり方をしていたのでは売り上げが上がらないと悩んでいる経営者が多いみたいですね。◯◯さんのところはどうですか?」と問いかけると、社長は、「たしかに! うちも、営業も人材採用も、少し前はうまくいっていたんだけど、最近、反応が悪いんだよね。なんでなんだろうね? (悩みに気づく)」と答えてくれました。

そこで、僕が、「それって、どうなったらいいんでしょう?」と問いかけると、社長は、「今の時代に合ったやり方が必要なんだろうね。私は古い人間だから、若い社員が中心になって、会社を盛り上げてくれるといいのにな(理想の姿に気づく)」と答えてくれました。この会話の中で、この社長は、「我が社のこれまでのやり方は通用しないという悩みがあること」と「それを若い社員が中心になって解決してほしいと思っていること(理想の姿)」に気づいたんですね。

この話をお聞きした後日、僕が、「先日の社長の悩みなんですが、僕、解決できると思うんです。興味あります?」と話したところから、この会社にも研修に行くことになったのです。居酒屋での何気ない会話が商談になっていくのです。

なにげない雑談から仕事につながる場合も

数年前、出張先でタクシーに乗ったときのことです。

運転手さんに地元のおいしい料理を聞いたりして、会話が盛り上がりました。そうしていると、運転手さんに「何のお仕事をされているんですか?」と聞かれたので、「僕はコンサルなんです。最近、企業でベテラン層と若手層の価値観が合わなくて、ベテランの人が若い人に言いたいことも言えない……みたいなことがあるんですよ。そんなことを解決するような仕事なんです。運転手さんも、若い人とどう付き合えばいいんだろうと悩むことがありますか?」そう問いかけてみたんですね。

すると、そこからずっと、若手社員の不満を話してくれました(笑)。そのときは時間もなくて、この話だけで終わったのですが、僕はこの運転手さんとまたお会いしたいなと思ったので、「今日の夕方、また駅までタクシーで行きたいので、17時くらいに来てくれませんか?」とお願いしたんです。そして、帰り道の途中でも、いろいろな話をお聞きして、すっかり打ち解けたんですね(ここのコツは「聞く」と「問う」)。

最後に僕が、「今日、泊まりなので、この後、一緒に飲みに行きましょうよ!」と、お誘いしたことで、そのまま一緒に飲みに行くことになったのです。そうしたら、なんと、その飲みの席に、「面白い仕事をしている人がいるって話したら、会いたいって言うから……」と、自分の会社の社長を連れてきてくださったんです。そのご縁で、今もその会社に毎月、研修に伺っています。

夜の街を走るタクシー
写真=iStock.com/mbbirdy
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