香港でどうしてもやりたかった業態

彼のような大胆なパートナーだからこそできた、思い切った新しい事業があります。WAGYUMAFIAがプロデュースするラーメン店です。

これは、最初のライセンス契約の条件にも入っていました。それは「WAGYUMAFIAと他に何か新しいプライベートブランドを1つ作ってほしい。そしてその会社をジョイント・ベンチャーで作ってほしい」というものでした。

パートナーで大事にしたいのは、ウインウインの関係を作ること。

そこで僕は、「香港であればどうしてもやりたい業態がある」と伝えました。それが香港で初めて登場した「MASHI NO MASHI」という和牛専門のラーメンブランドです。

アジア有数のラーメン店舗が集まった都市である香港で、地元のニーズを掴んで大ヒットし、現在では香港2店舗、東京1店舗、シンガポール、ラスベガス、ロンドン、パリへの展開を計画しています。

1杯1万円、1日1時間のみ営業の和牛ラーメン

日本のMASHI NO MASHI TOKYOは、香港から逆輸入する形でオープンさせました。

大きな話題になったのは、提供する和牛ラーメンが1杯1万円だったこと。そしてスタート時は1日1時間のみの営業というスタイルを取ったことです。

1万円のラーメンというのは、日本にはなかった。ラーメンの世界では1000円の壁という言葉があった中で、あえてその10倍の1杯1万円の価格帯を出すことでインパクトがあったのです。

どうして1万円だったのか。もちろん和牛を使っていますから、コストも圧倒的にかかっているわけですが、もうひとつはラーメンの世界に一石を投じたかったからです。

たとえば500円のラーメンでも、ラーメンをでて、スープを入れて、サーブするというアクションは同じ。でも、20杯出さないと1万円にはならない。「大量に安く」であり、「薄利多売」です。

それで果たしてうまくいくのか。従業員のみんなに、満足のいく給料が払えていたのか。誇りを持って仕事ができていたのか。僕は、それを問いたかったのです。