ニセコは今や国内外の富裕層が集まるスキーリゾートだ。本州では白馬のブランド化も進む。金融アナリストの高橋克英さんは「ニセコや白馬の地価が加熱しているなか、富裕層の間では次の投資先となるリゾート地を探す動きがある。そこで注目されているのが、安比、妙高、水上の3つのスキーエリアだ」という――。
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写真=iStock.com/Nikola Spasenoski
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ニセコに加えて白馬のブランド化が進んでいる

スキーシーズン真っ只中だ。日本を代表する世界的なスキーリゾートとして君臨する北海道のニセコでは、世界最高のパウダースノーを求め、豪州やアメリカ、フランス、香港やシンガポールなど数多くの富裕層で溢れている。

ルイ・ヴィトンの期間限定店やモンクレールを扱うセレクトショップもあり、パークハイアットやリッツ・カールトン、ヒルトンといった外資系ブランドホテルや飲食店などには、外国人スタッフも多く、会話は基本英語だ。インバウンドの訪問数や宿泊延べ数はコロナ前の賑わいを越えて、過去最高を更新する勢いだ。

本州においては、白馬のブランド化が進んでいる。10のスキーリゾートからなる「白馬バレー」は、長野冬季オリンピック(1998年)開催地でもあり、インバウンドにも知名度は抜群だ。円安による割安感もあり、外資系ラグジュアリーブランドホテルの進出も続いている。

シンガポールのカノリーホテルズは、2022年12月、「カノリーリゾーツ白馬」を開業した。1日1組限定バトラー付きプライベートヴィラの広さは400m2を誇り、食事は、内廊下で繋がる隣接のステーキレストランや、ミシュランの星を持つ都内予約困難店の鮨職人による出張料理を堪能することもできる。ピーク時には例えば1泊素泊まりでも70万円(※筆者が公式サイトから調べた時点での金額)と高額ながら、今スキーシーズンはほぼ予約で埋まっている盛況ぶりだ。

この先も、外資系ラグジュアリーホテル&ホテルコンドミニアムの「バンヤンツリー」や「ラヴィーニュ白馬 by 温故知新」の開業が予定されている。

「安比、妙高、水上」に注目している

ニセコでも、外資系ラグジュアリーホテルやホテルコンドミニアムの建設ラッシュが続くものの、地元の倶知安町では2023年10月、リゾート開発に関する規制を見直し容積率規制や高さ制限などを強化した。白馬においても、ホテルコンドミニアムや別荘新設で地価も上昇するなか、過熱化で不動産価格の割高感もみられ、ゲレンデの混雑も進む。こうした状況下、「第二のニセコ・白馬」として注目されるスキーリゾートがいくつかある。

①パウダースノーに代表される雪質やゲレンデのスケール②新幹線や空港など交通の便③温泉や飲食店街など街並みといった要素から、北海道では富良野、ルスツ、本州では、安比、蔵王、苗場、志賀高原、妙高、水上、野沢温泉、軽井沢などがその候補地の1つとして挙げられよう。

筆者は、そのなかでも、安比、妙高、水上の3エリアを次なる世界基準のラグジュアリースキーリゾートの候補地として注目している。

いずれのエリアでも、外資系資本や国内大手資本によるラグジュアリーホテルや別荘の開発が進んでおり、首都圏の国内富裕層から華僑など海外富裕層までを主要ターゲットにすることで、日本に新たなる世界水準のスキーリゾートが誕生する予感が感じられる。