大谷に賭けているMLB
世界1位のアスリート収入/世界トップ10人の収入合計は(年俸・賞金だけでなくスポンサー費用も入っているため、およそ年俸の倍額に膨らんでいる)1990年の0.29億ドル/1.28億ドルから、2018年の2.85億ドル/10億ドルへと10倍規模になってきた。
この期間、日本のプロ野球選手の年俸はほとんど変わっていないのに!(1990年でMLBとNPBがほとんど同じだったため、今は「米国だと10倍稼げる」という状態)
そうした10倍サイズの北米・欧州スポーツ史上においても、大谷の今回の契約は類をみないものであった。これは日本の野球界だけでなく、実は北米のMLBにとっての幸甚である。
欧州サッカーや北米のNFL(アメフト)・NBA(バスケ)に比べると、MLB(メジャー野球)はずっと“落ち目”であった。2021年に大谷が二刀流で登場したオールスターゲームも視聴率4.5%。2023年は3.9%と過去最低。「野球はクールじゃない」「おじさんのスポーツ」として若者の野球離れが顕著なのは日本のみならず米国でも同様だ(志村朋哉『ルポ大谷翔平』2022朝日新書)。
だからこそMLBは大谷に賭けているのだ。稼ぐスポーツとしても観るスポーツしてもプレイするスポーツとしても、他のスポーツの後塵を拝している「野球」の復権に向けての命運を大谷は託されているのだ。