日本の「プロ野球」とアメリカの「ベースボール」はなにが違うのか。元プロ野球選手でメジャーリーガーの井口資仁さんは「アメリカは積極的にルール改定などを行って『現代のスポーツ』であろうとしている。日本のプロ野球も見習うべきだ」という――。

※本稿は、井口資仁『井口ビジョン』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

シカゴホワイトソックスの本拠地のフィールドパノラマ
写真=iStock.com/jetcityimage
※写真はイメージです

メジャーが2023年に行った大幅なルール改定

野球とベースボール。同じスポーツを表す名前ながら、プロ野球とメジャーリーグ、両方の解説をしているとその違いを感じずにはいられません。そもそも、アメリカで実施されたルールやフォーマットの改定が、数年後に日本でも採用される流れが定着していますが、2023年にメジャーが実施した改定のインパクトは絶大で、日米で違うスポーツをしているのではないかという錯覚すら覚えたほどです。

ここで2023年にメジャーで実施された主なルール・フォーマットの改定をご紹介しましょう。

○ピッチクロックの導入
投手は走者なしの場面では15秒以内、走者ありの場合は20秒以内に投球しなくてはならない
打者が交代する場面では30秒以内
捕手はピッチクロックが残り9秒以下になる前に、ホームベース後方に下がらなくてはならない
打者は残り8秒以下になる前に、打席に入らなくてはならない
投手側の違反は1ボール、打者側の違反は1ストライクが宣告される

○牽制球制限
プレートから足を外す行為も含め、投手の牽制は1打席につき3回まで。3回目の牽制球で走者をアウトにしない限り、以降はボークを宣告される

○守備シフトの禁止
内野手は二塁ベースを中心とした左右に2人ずつ位置しなければならない
内野手は内野のダート部分に両足を置かなければならない
違反した場合は1ボールが宣告される

○ベースの拡大
一塁、二塁、三塁ベースの大きさが15インチ(約38センチメートル)四方から18インチ(約46センチメートル)四方に拡大