試合時間が長すぎてベースボール人気が低迷

かつては「The Great American Pastime(アメリカの一大娯楽)」と呼ばれ、国民的人気を誇った野球ですが、今ではアメリカンフットボールやバスケットボールなどの人気に押され、ファンと競技人口の減少が大きな課題となっています。そこで、メジャーリーグ機構が中心となり人気低下の原因を調査したところ、3時間を超える試合時間の長さが大きく関係することが分かりました。

メジャーリーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーは「時短」を急務の課題に掲げ、試合時間を長引かせる要因をさらに調査。その結果、投手によってまちまちな投球間隔、監督・コーチによるマウンド訪問、打者がたびたび打席を外す行為などを「無駄の省ける時間」とし、ピッチクロックを導入することで時短を図ることにしたのです。

また、ここ数年にわたり顕著となっていた「投高打低」の傾向を変え、より得点が入る試合を増やすために守備シフトを禁止したり、ベースを大きくしたりするなどルールを改定。エンターテインメント性を高めることで人気を回復できないか、試行錯誤を繰り返しています。そして、2023年シーズンを見る限り、新ルール導入の成果は十分に表れているのではないかと思います。

野球ボールと時計
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ルール改定で試合時間が30分も短縮された

2023年のオールスター戦開催時に行われたマンフレッド・コミッショナーの記者会見に先立ち、メディアに配布された資料があります。それによれば、2021年には9イニングの平均試合時間が史上最長となる3時間10分だったのに対し、2023年前半戦では2時間38分まで短縮されていたのです。およそ30分も短縮されたことには驚きしかありません。

また、データによれば、前半戦に行われた約6割の試合で、新たに導入されたピッチクロックに関わるルール違反があったものの、そのうち28%が1試合あたりの違反は一つ、9%が二つ、三つ以上あったのはわずか2%のみ。開幕から100試合目までは平均で1試合あたり0.87個の違反があったものの、前半最後の100試合では0.23個に減少していることから考えると、選手はプレーする中でピッチクロックに問題なく対応することができていたようです。