地上波放送も復活するかもしれない
また、試合時間が短縮されれば、テレビの地上波にプロ野球中継が復活する可能性が生まれるのではないかとも考えています。試合が夕方6時から9時までの3時間に収まれば、テレビ局に放送しやすいコンテンツとして考えてもらえるでしょう。
球場で観戦するファンにとっても予定が立てやすくなりますし、9時までに終われば子供たちも球場でナイター観戦しやすくなるのではないでしょうか。テレビであれ球場であれ、子供たちが野球を身近に感じる機会を増やす意味でも、試合時間の短縮は有効だと思うのです。
ちなみに、僕が経験した最も長い試合時間はホワイトソックス時代の6時間19分(延長19回)で、2006年7月9日の本拠地ボストン・レッドソックス戦でした。5-5の延長19回1死満塁の絶好機で僕は打席を迎え、カウント2-2からの5球目を強振。打球はレフト前へ抜けるサヨナラヒットとなりました。自分のバットで勝負が決まったこと以上に、試合が終わったことをうれしく思ったことを覚えています。
最も多いイニング数はパドレス時代の22回(6時間16分)で、開幕まもない2008年4月17日の本拠地コロラド・ロッキーズ戦。この時は1-2で敗れ、徒労感しか残りませんでした。
反対に、最も短い試合時間はホワイトソックス時代の2005年4月16日の本拠地マリナーズ戦。この時は9回までプレーして、わずか1時間39分で試合が終わったのです。ホワイトソックスのエース左腕マーク・バーリーはテンポの良い投球が持ち味でしたが、この日はマリナーズ打線を寄せ付けずに3安打1失点の完投勝利。許した3安打はすべてイチローさんだったことも印象深く残っています。
セ・パ両リーグでのDH制導入も検討すべき
試合時間の短縮と同様に、セ・パ両リーグでの指名打者(DH)制導入や1リーグ制への移行といった話題も、これから議論が活性化するのではないかと考えています。この両者について、僕の意見をご紹介しましょう。
パ・リーグでは1975年から採用されているDH制を、セ・リーグでも採用すべきか否かという議論は今に始まったことではなく、長らく続いているものです。結論から言うと、僕は両リーグともにDH制とするべきだと考えています。
打線のつながりを考えてみても、投手が怪我を負うリスクを考えてみても、DHを起用する方が断然合理的。もちろん、投手の中にも打席に立ちたい人はいるでしょうが、その場合は先発投手がDHを兼務できる「大谷ルール」を適用すればいいと思うのです。
メジャーでは2020年に新型コロナウイルス感染症の影響による特例措置として、ア・リーグとナ・リーグ両方でDH制が採用されました。翌年にナ・リーグはDHを使わずに投手も打席に立つ従来のルールへ戻りましたが、2022年から正式に両リーグでDH制を採用することが決定。採用後の2シーズンを見ても特に大きな混乱はなさそうですし、むしろ選手にとっては、投手も打者も、移籍先の選択肢が広がったように思います。DH専門の野手や打撃が苦手な投手でも問題なく、ナ・リーグの球団に移籍できるようになったからです。
日本でも将来的には両リーグでDH制が採用されることになると思います。この変化の波は避けて通れないでしょう。そうであれば、メジャーに近いタイミングで、日本も早めに変化した方がいいのではないでしょうか。