愛子さま、佳子さまら女性皇族の将来を決める議論が国会で行われている。評論家の八幡和郎さんは「結婚後も女性皇族本人は皇族でおられる選択ができれば、結婚相手の年収によって生活が左右される懸念がなくなり、お相手選びの選択肢も増える」という――。
静養で御料牧場に到着し、出迎えを受けられる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2024年5月2日、栃木県高根沢町[代表撮影]
写真=時事通信フォト
静養で御料牧場に到着し、出迎えを受けられる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2024年5月2日、栃木県高根沢町[代表撮影]

国会で「皇族減少対策」の議論スタート

安定的な皇位継承を確保するため、国会決議に基づいて設けられた有識者会議から以下の2つの案を同時に採用することが提案され、国会で各党の議論が始まった。これは、悠仁さまに男子がいなかった場合も念頭にしたものだ。

①単独残留案:愛子さまや佳子さまなど、女性皇族が本人だけ結婚後も皇室に残れるようにする
②旧宮家養子案:皇族が旧宮家の子を養子にする

単なる政府与党の案でなく、国会が自ら設置を求めた諮問会議による提案であって、軽々に扱うべきものでない。ただ、マスコミがきちんと解説しないので、素晴らしい構想なのに、議論の経緯や具体的な状況を前提にしない浅はかな議論が横行して困ったものである。

前回記事〈「愛子天皇」は選択肢に入っていない…「旧宮家男子を養子に」という政府の皇族確保策が妙案である理由〉で「旧宮家養子案」について詳しく解説したので、今回は「単独残留案」について具体的に詳細を解説したい。

「女性宮家」は小室家騒動で立ち消え

野田佳彦内閣(2011年9月~2012年1月)のときに、女性宮家という案が話題になった。眞子さま・佳子さま・愛子さまらを当主にした宮家を創設して、夫や子も皇族にしようというものだった。

当時、「彼女たちがもし、疑問がある男性と結婚したいと言ったら困る」と私たちが指摘したら、推進派の人たちは、「皇室の女性たちは常識があるし、宮内庁にも調査能力があるから心配する必要はない」と言った。

ところが、眞子さまと小室圭氏の婚約予定が公表されたあと、小室家のスキャンダルが出た。皇族の良識も宮内庁の調査能力も幻だった。もし、野田内閣が続いて、女性宮家が実現していたら小室圭氏はいまごろ「殿下」になっていただろう。

そこで風向きが変わり、女性宮家案は力を失い、女性皇族のみが皇室に残る「単独残留案」にシフトしたのだから、野田元首相が女性皇族の結婚相手を皇族にしたがるのは、反省がない無責任な態度だ。