和宮は結婚後も皇族であり続けた
政府の有識者会議が2021年12月に公表した報告中で「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること」に関する部分を要約すると以下の通りである。
内親王・女王は結婚後も皇族の身分を保持することは、江戸時代に和宮(第120代仁孝天皇の皇女)が、第14代将軍家茂との結婚後も皇族のままで、家茂が皇族となることもなかった歴史と整合している。
また、女性皇族に結婚後も皇族の身分を保持していただくと、女性皇族が現在担っておられる公的活動が継続的に行われ、行事や団体などの継続的発展のためにも望ましい。
こういう制度を導入すると、皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないか、という反対意見があるが、その女性皇族の子は皇位継承資格を持たず、配偶者と子は皇族という特別の身分を有しない、とすれば問題は生じない。
皇族として残るかどうかは本人の自由に
ただし、現在の内親王・女王殿下方は、結婚後は皇族の身分を離れる制度(皇室典範第12条)の下で育ってこられたので、結婚後に皇族として残るかどうかは本人に選択させたらいい。
対象となるのは、未婚である愛子さま(22)、佳子さま(29)、それに三笠宮家の彬子さま(42)、瑶子さま(40)、それに高円宮家の承子さま(38)の5人であるが、政策的に愛子さま、佳子さまに限定することは考えられる。
それでは、愛子さまや佳子さまがこの制度を利用される場合とされない場合に、どうなるのかシミュレーションしてみよう。
これまでの制度のもとで結婚される場合は、皇室会議の承認などはいらない。眞子さんは辞退されたが、一時金として1億数千万円が支給され、結婚相手の籍に入られる。
氏(姓は法律用語ではない。戸籍法では氏名が規定されているが、皇族は戸籍法の適用外なので戸籍法上の氏はない)は、これまでの例によれば結婚相手の氏を名乗るが、家庭裁判所の許可を取って、新しい氏にすることは可能だ。たとえば、佳子さまが「秋篠」を名乗られるとか、愛子さまが雅子さまの旧姓である小和田姓を選択することも可能だろう。