たったひと言「ほめる」だけで笑顔になる

職場でも趣味のサークルでも、すぐに仲良くなれて、良好な関係が続く人は、よく人の長所に目を向けて、ほめることが多いものです。

たとえば、初めて会った人にも、気さくに「おしゃれなシャツですね。よくお似合いです」「色の組み合わせが、いいですね」なんて話しかける。ときどき顔を合わせる人には「今日もいい笑顔!」「物知りだなぁ」「言葉遣いが丁寧」「働き者!」「声に癒やされます」など、相手の“ほめポイント”を見つけて伝えようとするのです。

最近、私が初対面の人から言われて嬉しかったほめ言葉は、「佇まいがいいですね」。“佇まい”という言葉が新鮮で、その人のことが「自分も知らないよさを認めてくれた特別な人」として忘れられない存在になったのです。

子どもからお年寄りまで、だれでもほめられるのは大好き。相手のことが好きになり、こちらも相手を認めよう、ほめよう、喜ばせようという気持ちになります。

たったひと言、ほめるだけで、互いに笑顔になれるのです。

ほめることは、お金も時間もかからず、大きな恩恵があるのに、その重要性を理解していない人が多いようです。とくに現代社会では、多くの人が孤独を抱えていて、心の奥で「自分を認めてほしい」「わかってほしい」と渇望しています。

つまり、需要に対して、ほめてくれる人の供給が圧倒的に不足しているのです。上司でも、夫婦でも、相手をほめて認めることで継続できる関係もあるかもしれません。

もしも、あなたがほめることに慣れていなければ、いいなと思ったときに、すかさず「いいね」「さすが」「すばらしい」と、簡単な言葉でも口に出すことから始めるといいでしょう。

今まで話をしなかった相手でも、にっこりして「髪、切ったんですか? 素敵です」「会議での提案、すごくよかったです」なんて言ってみてはいかがでしょう。

ほめる習慣でいちばん得をしているのは、自分自身。相手のいいところを見ようとするので、嫌悪感やストレスが軽減されて、人間関係がうまくまわり始めるのです。

写真=iStock.com/ChayTee
※写真はイメージです

名前をさりげなく会話のなかに差し込む

相手との距離を一気に縮めて“顔見知り”になるために、ぜひ習慣にしてほしいのが「相手の名前を呼ぶこと」です。自己紹介をされたり、名刺をいただいたりしたら、すぐに会話のなかにさりげなく、相手の名前を差し込みましょう。

名前というのは、相手が人生のなかでいちばん耳にしていて、もっとも甘く、心地よく響く言葉。「どう思いますか?」と聞かれるよりも、「○○さんは、どう思いますか?」と聞かれたほうが、自分が尊重されているようで、「ちゃんと答えよう」と思うはずです。

名前を差し込める会話はいくらでもあります。「たしかに、○○さんのおっしゃる通りですね」「○○さんもカラオケに行かれることがあるんですか?」「○○さんは大阪のご出身ですよね」「○○さん、ひとつ質問していいですか?」という具合に。

名前を連呼しすぎるとわざとらしくなりますが、適度に挟むと、相手に「自分は名前を呼んでもらえる存在なのだ」と思われて、親密度がぐんと高まるのです。

名前を繰り返し口にすることで、名前が覚えやすくなるというメリットもあります。

ある有名俳優が、ドラマの収録前に必ずすることは「スタッフ全員の名前を覚えること」と言っていました。名前を呼ばれて、嫌な気持ちになるスタッフはいません。だれもがファンになって「この人のためにがんばろう!」と思うでしょう。

名前を呼ぶことは、コミュ力に自信がない人でも、簡単に距離を縮められる秘策。よく行く飲食店で、スタッフの名前を呼ぶだけで“お得意様”扱いされたり、初対面の人ともすぐに打ち解けて「また会いたい」と思ってもらえたりします。

逆に、何度か面識があるにもかかわらず、いつまでも「あの〜」なんて呼んでいたら、相手は「名前覚えられていないのかな」と、残念な気持ちになるかもしれません。

気恥ずかしいのは最初だけですぐに慣れるので、どんどん名前を呼びましょう。名前を呼んだ相手には不思議と親近感がわき、好印象をもつという効果もあるのです。