子供も親も苦しめてきた「私教育」

2020年、勤労所得の年末精算(日本で言う年末調整)結果を基準にすると、上位1%の勤労所得者は19万4953人で、その75%の14万5322人が首都圏に集中しています。家の価格も、ソウル市で家を買うには、平均年収の27.7年分が必要です(東京は12.4年分)。

子供を幼児の頃から様々な塾に通わせる「私教育」もまた、世界的に有名です。軍事政権の頃から大学生(当時、大学生はすごいエリートでした)を家に呼んで子に個人授業を受けさせる、いわゆる「グァウェ(課外)授業」が、社会分裂を招くと問題とされましたが、それから様々な形になり、韓国の子供たちと、その親(の財布)を苦しめてきました。

特に英語関連での私教育はまさに狂風とも言えるレベルで、韓国では以前から舌小帯ぜつしょうたいが短い「舌小帯短縮症」の人が多く、英語発音の邪魔になるという理由で赤ちゃんの舌小帯を切断してきました。

「英語幼稚園」の授業料は月14万円

2002年にはアメリカのロサンゼルス・タイムズが、「韓国では英語教育が宗教的なものになっている」としながら、この件を記事にしたこともあります。(「中央日報日本語版」2002年4月1日など)。ちなみに、詳しくは書きませんが、一部の宗教では体のとある部分を切る儀式がありますので、それにたとえて皮肉ったのでしょう。

シンシアリー『韓国の絶望 日本の希望』(扶桑社新書)

最近話題になっているのは、幼稚園児を対象に1日4~8時間の授業を行う「英語幼稚園」で、ソウルだけで300カ所以上あり、授業料は1カ月130万ウォン(2023年11月時点で約14万円)を超える所も多いと言われています。ソウルの英語幼稚園の授業料の平均を出してみると、4年制大学の平均授業料より高いそうです。

しかも、調査してみたらその講師の7割はライセンスなしの無免許外国人だった、とのことでして。もうどこからどうツッコめばいいのか分かりません。こういう話がニュースになると、韓国ではほぼ例外なく「あ、だからこんなにノーベル賞がたくさんもらえるのか」という皮肉コメントが付いたりします。

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