昔にできたニキビ跡も治療で薄くすることが可能

最近はSNSなどの影響で、初めからイソトレチノイン目的で受診される患者さんも増えました。しかし、イソトレチノインは副作用のリスクだけでなく、保険適用でないこと、数カ月以上継続して使用しなければいけないことから費用も高額になります。

当院では20mgカプセル1カ月分で1万6500円(血液検査代別)です。イソトレチノインを希望する患者さんでも、まずは保険適用のニキビ治療を行うことを勧め、それでも治らなければイソトレチノインの服用を検討します。

ニキビ跡については、新しい治療法がどんどん出てきており、治療を行えるということが認知されつつあります。治療によって患者さんのQOLが上がることから、私も力を入れている治療のひとつです。

治療法はニキビ跡のタイプによって異なり、主に赤いニキビ跡、茶色いニキビ跡、へこんだニキビ跡、盛り上がったニキビ跡に分類できます。

赤いニキビ跡にはVビームのレーザー治療やBBLという光治療、茶色いニキビ跡はターンオーバーを促してメラニン色素の発生を抑えるハイドロキノンという塗り薬や、弱い出力で色素を徐々に破壊して跡を薄くしていくピコトーニングというレーザー治療などがあります。赤いニキビ跡、茶色いニキビ跡ともに自然に薄くなっていきますが、早く治したいと治療を選ぶ方も多いです。

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凹んだニキビ跡などの最新治療法

へこんだニキビ跡は、その部分の傷跡によってローリング型、ボックスカー型、アイスピック型の3タイプに分けられます。主な治療法にレーザーや針でわざと皮膚に傷をつけ、真皮を刺激してへこみを盛り上げる炭酸ガスレーザーやピコ秒レーザーを用いたフラクショナル治療やダーマペンがあります。

また皮膚の繊維が癒着により下に引っ張られたことでできたボックスカー型のへこみに対する最新の治療法としてサブシジョンがあります。これは針で癒着部分を切断することで、へこみをふっくらと盛り上げる方法です。ケロイドのように盛り上がったニキビ跡は、下に骨があるニキビにできやすく、ステロイドの塗布や注射で治療を行います。こちらは健康保険が使えます。

ニキビ跡はいくつかのタイプが混ざっていることが多く、異なる治療を行わなければいけないために費用も時間もかかります。そこで、当院では盛り上がり以外のニキビの方には、始めやすいケミカルピーリングをお勧めしています。レーザーや針を使う治療に比べると効果もマイルドではありますが、毛穴詰まりを解消する効果もあるため、ニキビ跡の治療をしながら新しくできるニキビを予防することも可能です。