どうすれば寝つきが良くなるのだろうか。医師の奥村歩さんは「寝る1時間前に低GI値の食品を食べると寝つきが良くなる。また、腸内環境を良くする食品にも、自律神経を整え、不眠が改善する効果がある」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、奥村歩『スマホ脳・脳過労からあなたを救う 脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

熟睡できるかどうかは「オレキシン」で決まる

熟睡習慣は、オレキシンがカギを握っています。

オレキシンは、ノルアドレナリンやアセチルコリンなどに指令をして、覚醒状態をコントロールしている神経伝達物質です。

睡眠を促すGABAなどの神経伝達物質ともバランスをとっています。

図表1は、オレキシンによって、生体活動がどのように変化するかを表したものです。

オレキシンは、さまざまな脳内物質と相互作用をしており、そのバランスによって、身体を休めるか、目覚めさせるかをコントロールしているのです。

「ホラー映画」で寝つけなくなるワケ

大脳辺縁系は、情動(感情の動き)を司る脳の領域ですが、感情が高ぶるとオレキシンの分泌が増え、注意力も高まって、「覚醒モード」になります。

これは人類の歴史において培われた、生命を護る機能と言えます。

蛇やライオンに遭遇した際、「恐ろしい!」と感じてオレキシンが活性化、「覚醒モード」に入り、「逃げるべきか? 戦うべきか!」という判断を瞬時に行い、機敏に行動できるのです。

この仕組みがあるため、寝る前にホラー映画などを観てしまうと、脳が興奮して寝つきが悪くなってしまいます。

逆に、感情が動かなければ、オレキシンは活性化されません。

つまらない授業で眠くなるのは、このためです。