「血糖値」が上がると眠くなる

オレキシンは、グルコース(ブドウ糖)やレプチン、グレリンといったホルモンにも制御されています。

グルコースは血中から全身の細胞に取り込まれ、エネルギー源となります。

血液中のグルコース濃度が「血糖値」です。高血糖になるとオレキシンは抑制されます。食後に眠くなるのはこのせいです。

テーブルで眠る人のイメージ
写真=iStock.com/nensuria
「血糖値」が上がると眠くなる(※写真はイメージです)

逆に血糖値が低いときは、オレキシンは活性化されます。

人類の歴史において、最も恐ろしいのは飢餓でした。お腹がすいていると、「寝ている場合じゃないだろ! 早く獲物を探せ!」というオレキシンの指令によって、脳が覚醒してしまうのです。

なぜ「空腹で寝てはいけない」のか

レプチンは、別名「満腹ホルモン」。食後に脂肪組織から分泌されます。

脳の視床下部に満腹を知らせるサインを送り、食欲を抑制し、エネルギー消費を亢進こうしんして、結果的に血糖値を下げます。

食事によって血糖値が上がると、レプチンの働きで、オレキシンが抑制されます。

逆に、血糖値やレプチン値が下がると、オレキシンが活性化されます。

一方、食欲を亢進する「グレリン」というホルモンもあります。別名「空腹ホルモン」とも呼ばれ、空腹時の胃から分泌されると、血液に乗って脳に作用し、食欲を刺激して、空腹感をもたらします。

このとき、オレキシンを活性化してしまうので、空腹で寝ようとしてもなかなか眠れないのです。

熟睡のためには、レプチンとグレリンのバランスを保つために、適度に食べたほうがいいのです。