「血糖値」が上がると眠くなる
オレキシンは、グルコース(ブドウ糖)やレプチン、グレリンといったホルモンにも制御されています。
グルコースは血中から全身の細胞に取り込まれ、エネルギー源となります。
血液中のグルコース濃度が「血糖値」です。高血糖になるとオレキシンは抑制されます。食後に眠くなるのはこのせいです。
逆に血糖値が低いときは、オレキシンは活性化されます。
人類の歴史において、最も恐ろしいのは飢餓でした。お腹がすいていると、「寝ている場合じゃないだろ! 早く獲物を探せ!」というオレキシンの指令によって、脳が覚醒してしまうのです。
なぜ「空腹で寝てはいけない」のか
レプチンは、別名「満腹ホルモン」。食後に脂肪組織から分泌されます。
脳の視床下部に満腹を知らせるサインを送り、食欲を抑制し、エネルギー消費を亢進して、結果的に血糖値を下げます。
食事によって血糖値が上がると、レプチンの働きで、オレキシンが抑制されます。
逆に、血糖値やレプチン値が下がると、オレキシンが活性化されます。
一方、食欲を亢進する「グレリン」というホルモンもあります。別名「空腹ホルモン」とも呼ばれ、空腹時の胃から分泌されると、血液に乗って脳に作用し、食欲を刺激して、空腹感をもたらします。
このとき、オレキシンを活性化してしまうので、空腹で寝ようとしてもなかなか眠れないのです。
熟睡のためには、レプチンとグレリンのバランスを保つために、適度に食べたほうがいいのです。