お酒を飲んだように顔が赤くなる「酒さ」という症状が、若い女性のあいだで増えているという。何が原因なのか。皮膚科専門医の西正行さんの書籍『美肌になりたければ、その肌ケアをいますぐやめなさい。』(自由国民社)より、過剰なスキンケアの危険性についてお届けする――。
「赤ら顔」の女性が増えている
私のクリニックを訪れる半数以上の患者さんが、女性です。そのうち多くの人が、ニキビや肌荒れ、シミなどの肌トラブルに悩んでいます。
中でも最近、特に多いと思うのが、自分では気づかないうちに、「赤ら顔」を発症している女性です。
「赤ら顔」と聞いて、どんな症状か思い当たるでしょうか。赤ら顔にまったく縁がない人は、ピンとこないかもしれません。
「赤ら顔」とは、文字通り、顔が赤くなってしまうことをいいます。
赤くなるといっても色の現れ方は人それぞれで、頬や小鼻の周りなど顔の中心だけが赤くなる人もいれば、顔全体がほてったように赤くなってしまう人もいます。
「毛細血管拡張症」という病気
顔が赤く見えるのは、皮膚表面の細い血管である毛細血管が、なんらかの原因で広がっているからです。これを「毛細血管拡張症」といいます。
なぜ、患者さんからの訴えがないのにこれに気づいたのかというと、近年、皮膚科の診断ツールとして、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を使うようになったからです。
もともとは皮膚の腫瘍やホクロなど、色素性病変を詳しく診察する時に使う道具なのですが、これを使って顔のシミを診察している時に、シミのある部分やその周囲の毛細血管が拡張していることに気がつくようになったのです。