フォーリン・アフェアーズもまた、補給線、司令部、貯蔵施設などがトンネル内に存在し、こうした設備は病院や学校などの民間建物の地下にあることが多いと指摘している。

8つの複雑なトンネル群

トンネル網は想像を絶する規模で広がっている。正確に検証されたわけではないが、少なくともハマス側は、輸送や軍事物資の貯蔵に使う目的で、ガザ地区全体で総延長約500kmのトンネルを建設したと主張している。

CNNは、これが真実であれば、ニューヨークの全地下鉄網の総延長の半分弱に匹敵する規模だと指摘する。地下戦の専門家であるダフネ・リチェモンド=バラク氏は、「むしろ比較的小さいともいえる領土だが、非常に入り組み、かつ非常に広大で巨大なトンネルのネットワークが存在する」と評している。

ガザの領土は東西10km・南北40km程度であり、北部にそれぞれ放射状などに広がる8つの複雑なトンネル群が存在するほか、南部にもトンネルが掘られている。一部はエジプト側やイスラエル側へと地下で越境しており、物資を密輸するほか、ハマスがイスラエル領内で人質をさらうなどの目的にも用いられている。

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特定に成功したものだけでも1300以上が存在

ハマスがこれらのトンネルの建設に、実に10年間を費やした。当初は専ら物資の密輸目的だったが、その後ネットワークの規模と役割は大幅に拡大した。

USAトゥデイ紙は、エジプトに通じるトンネルや、イスラエルに越境するもの、軍事利用のためのガザ内のものなど、さまざまな戦略的な目的で掘られたトンネルを報じている。これらのトンネルは広範囲にわたって整備されており、イスラエル軍では通称「ガザ・メトロ」(ガザ地下鉄)と呼称している。

イスラエルは当初、こうしたトンネルの脅威を過小評価していたが、2014年のガザ戦争以降にその認識を一変させた。フォーリン・アフェアーズは、ハマスがトンネル開発を強化したため、ハマスのトンネル活動に関するイスラエルの想定が誤っていたことが証明されたと指摘している。多大な死傷者を出した最近の攻撃を含め、これらのトンネルの影響は、イスラエル軍がトンネル網への対処に手を焼いている現状を浮き彫りにしている。

トンネルの数は極めて多い。インタレスティング・エンジニアリングによれば、イスラエル軍が特定に成功したものだけでも1300以上のトンネルが存在し、なかには深さ30~40mメートルに達するものもある。

地下へ広がるハマスの活動インフラの阻止は急務だが、度重なる努力にもかかわらず、イスラエル軍はハマスによるトンネルの掘削を完全には阻止できていない。USAトゥデイ紙によると、2014年以降、ハマスは人道支援目的で提供された建設資材の一部を、トンネル建設に流用したとされている。