気がきく人は「とはいえ」と言い、気がきかない人は「ほらね」と言う

どんな物事も、見方によって見え方は変わります。例えば、シマウマを見て「黒地に白の縞」と見ることもできれば、「白地に黒の縞」と見ることもできます。

物事の見方・言い方は、その人次第で自由に変えることができるものです。

ところが、気がきかない人は、違う見方があることを忘れ、つい1つの見方や考え方に捉われてしまいます。「こうだからこう」と一旦決めてしまうと、そこから離れることができず、相手を不快な気分にさせてしまうことも少なくありません。

それを象徴するのが、気がきかない人がよく言う「ほらね」という口癖です。

何かうまくいかないことがあると「ほらね、言った通りでしょう」
相手に不満を持つと「ほらね、やっぱりあなたってそういう人だよね」
ミスが起きると「ほらね、そうなると思ってたよ」

ここに隠されているのは、「ほらね、私は間違っていない」という考え方です。これは自分の見方や考え方が正しいということを主張するための言葉で、遠回しに違う意見や考え方を否定しています。これでは言われた方ももちろん面白くありませんから、人間関係に影を落とすきっかけになったりします。

それに対して、気がきく人は、物の見方や言葉を転換させることがとても上手です。つねに物事を多角的に見て考える習慣があるので、口癖でも「とはいえ」という言葉が頻繁に出てきます。

何かうまくいかないことがあっても「とはいえ、ここはうまくいったよね」
相手に不満を持っても「とはいえ、本音が聞けてよかったよ」
ミスが起きても「とはいえ、このくらいで済んだのは不幸中の幸いだよね」

自分の考え方に捉われることなく、相手を認め、相手の見方も尊重する意識が伝わるため、落ち着いた穏やかなやりとりをすることができます。

気がきく人は、言ってみれば、“七色のメガネ”を持っているのです。これは、七色にレンズが変化するメガネです。どの色のレンズを通して見ているかで、世界は変わって見えると知っています。ですから、自分の好きな色だけではなく、様々な色を通して見て、偏りのない見方をすることを心がけています。

気がきかない人は、一色、しかも色の濃いサングラスをかけて世の中を見ています。全体的にダークな色味の中で、場合によってはよく見えていないことすらあります。そのため、今見えているものの状態や雰囲気を、「きっとこうだろう」という予測で決めつけてしまっているのです。

山本衣奈子『「気がきく人」と「気がきかない人」の習慣』(明日香出版社)

気がきく人がしているように、サングラスから七色のメガネに掛け替えるには、次の「リアプレイザル」や「リフレーミング」を意識するのが有効です。

リアプレイザル=「再評価」ネガティブな感情を再評価して、新たな意味づけをする
リフレーミング=「枠組みを変える」枠組みを外して、別の視点・捉え方で見つめる

例えば、嫌なことをされて「なんて失礼なんだ!」と考えるのではなく、「何か辛いことでもあってイライラしているのかな」と転換させるのがリアプレイザル的方法。「あの人って落ち着きがないよね」ではなく「あの人は行動力があるよね」と転換させるのがリフレーミング的方法。どちらも、“捉え方を変える”という意味では同じ考え方です。

そういった考え方に近づけてくれるのが「とはいえ」という言葉です。違う捉え方を生み、決めつけによる誤解や争いを減らすことができる言葉で、気がきく人がよく使います。ネガティブな想いが生まれたら、まずこれをつぶやいてみることを習慣にしてみましょう。

★気がきく人は、相手を認め尊重する!
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