スーツを着たまま熱風を浴びることも
「サウナに対しては偏見を持つ方がいます。ですが、私どもは社訓である『おもてなしの心』を持ってサービスのご提供に努めています。そうですね、なんといっても清潔にするのがいちばんでございます。また館内には本物の木を使い、ご覧いただいているお花もすべて本物です。
私自身はスーツやジャケットを着て、ワイシャツとネクタイです。上着のボタンもちゃんと止めて、そして、浴室にも入っていきます。靴下は脱ぎますが……。それが当社のポリシーで、総支配人はきちんとした正装でお迎えすることになっているのです。
私はサウナのなかがちょっと汚れておったりしたら、スーツ姿でお掃除をしますし、新入りの者がロウリュを行う前には、スーツを着たまま実際に熱風を浴びたりもします。お客様目線で清潔なり、サービスを考えることが大事ですから、もう、汗びっしょりでやっています」
ツムツムは毎日、汗みどろになる。スーツも傷む。それでも正装のままだ。ただし、帰りに店でひと風呂浴びてから帰ることにしている。そうして、自宅に着くとまた風呂に入る。清潔なのである。それほど清潔な男が館内の清潔度チェックをするのだから、不潔になるはずがない。
酔っ払いから「このハゲ」と呼ばれても…
また、ツムツムがもうひとつ、目を光らせているのは館内の雰囲気を保つこと。大声を上げたり、酔って騒ぐ者には臆することなく、慇懃に注意をする。それでも騒ぐようであれば退館させる。深酒の状態での入浴は命の危険を伴うからだ。
ツムツムは話す。
「恐れ入ります。その通りでございます。たまにいらっしゃるんです。酔っ払って、廊下で寝てしまい、起こそうとすると、『うるせぇ』『このハゲ』とおっしゃる方がおられます。ええ、私、髪の毛がちょっと薄いものですから『このハゲ』と呼ばれるわけなんです。
当館は共有スペースが多く、皆様に快適にお過ごしいただくため致し方ない場合もございます。こういった時も、真摯に臆することなくお客様に、他のお客様へご迷惑がかかるようなことがあれば、次回のご利用を促すようお話しさせていただいております。とにかくここは皆様のための施設なんです。そこだけわかっていただければ、私どもも精一杯、努めます」