「自分の頃と同じように若手を育てられない」

管理職としての若手育成・マネジメントに関する悩みや課題感について、いくつか取り上げる。図表9に、管理職に、これまで直面した若手の離職やその人数を尋ねた結果を示した。

「少数だがある(2〜4名)」が36.4%と最も多く、「ない」32.8%がこれに続く。なかには、「多数ある(10名以上)」という回答者も7.2%存在していた。集計すると、実に全体の3人に2人以上、67.3%の管理職が20代部下の離職に直面した経験があった。

また、若手のマネジメントに関する日々の課題感について複数回答で聞いた(図表10)。最も多かったのは「自分の頃と同じように育てられない」(34.4%)、次いで「若手育成と労働環境改善の両立が難しい」(31.4%)、「若手の成長にとって十分な業務経験や機会が提供されていない」(29.1%)であった。

若手を取り巻く職場環境が変わるなか、自分の頃の成功体験が通用せず、かつ労働環境改善が大前提となったなかで、自身は果たして十分な成長機会を提供できるのか、という日々の課題感が浮かび上がる。

「若手が育たない」と感じるマネジャーは75%

この章の冒頭で、現在の若手育成を難しくしている背景として、若手の多様化・多極化と職場環境変化により「自分が育ったように、若手を育てることができない」という点を指摘した。

古屋星斗『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』(日本経済新聞出版)

どんな動物であっても、自分が育てられたやり方で子どもや若い世代を育てる。それは過去のどんな人間でもそうだったのではないか。自分の若い頃の経験で「良かった」と感じた経験をもとに子どもたちや若者を育ててきたのだ。その当たり前ができなくなっているのだ。

その当たり前の代表はOJTで得られた経験だろうし、尊敬できる上司・先輩をロールモデルとして育てる方法や、はたまた同じ釜の飯を食って育てるとか、石の上にも三年いれば暖まる式の育成ということかもしれない。

こうした日々の課題感は若手育成上の直接的な悩みとなって浮上している(図表11)。

「若手が十分に育っていないと感じる」管理職は、「いつも感じた(毎日のように)」12.7%、「しばしば感じた(週に1〜2回程度)」24.9%、「たまに感じた(月に1〜2回程度)」38.3%であり、感じた合計では75.9%に達した。

さらに切迫した悩みとして「このままでは職場の若手が離職してしまうと感じる」についても、感じた合計では65.0%とほぼ3人に2人が悩んでいる状況にあることがわかる。

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