これらの筋肉がしっかり発達しないことで口呼吸になると、病原菌やほこりなどが入りやすくなるほか、口が乾くことで、口臭などさまざまな影響が出ます。むし歯や歯周病といった病気のリスクも上がります。
また、「口呼吸によって睡眠障害、仕事や学習における持久力や活動量の低下などの症状や注意欠損・多動障害などのさまざまな精神疾患を引き起こすことがある」ともいわれており、子どもの口周りの筋肉の衰えは、決してほっておけない事態といっていいでしょう。
10代や20代の口の衰えが引き起こす不具合
口周りの筋肉の衰えは、小学生だけでなく、若い人全般に関わってきています。
最近の調査結果で、口腔機能の実態があきらかになってきました。日本歯科医師会による、全国の15歳から79歳の男女1万人を対象に実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」(2022年)の項目において、「滑舌が悪くなることがある」「ムセやすい」「食べこぼしをすることがある」など、口腔の機能不全が疑われる6つの症状を経験したことがあるかどうかを質問したものがあります。
その結果は、基本的には年齢が高くなるとともに、これら6つの症状を経験したことがある人が増えています。次にまとめたグラフを見ていただくとわかるように、意外にも10代、20代の数値の大きさが目立っているのです。
特に10代は、「口のなかが渇きやすい」以外のすべての項目で、20代や30代よりも数値が高くなっています。さらに「口のなかが渇きやすい」「ムセやすい」をのぞけば、40代よりも高くなっているのです。
なかでも、「滑舌が悪くなることがある」と回答したのはなんと30.3%で、これは60代に匹敵する数値です。また、20代も26.5%と、50代とほぼ同じ数値でした。
また、口腔の機能不全が疑われる症状を経験しているのは、10代で48.3%、20代で40.6%と、半数近くの人が、なんらかの症状を経験していることもあきらかになりました。