10代は70代より食べ物を“噛み切れていない”

さらに、10代は「噛む力」も未発達の傾向があり、ふだんの食事について聞いたところ、「かたい食べ物よりやわらかい食べ物が好き」が53.6%、「かたい食べ物を食べるときに噛み切れないことがある」40.3%と、全年代のなかで最多となりました。

これはつまり、10代は70代よりも、食べ物を“噛み切れていない”実態があきらかになったというわけです。加えて、「食事で噛んでいるとあごが疲れることがある」と答えた10代は48.3%で、70代のなんと2.7倍にも上り、若年層の口腔機能の発達が不十分な疑いを表す結果になっているのです。

もちろん、調査からわかるのは決して若年層だけの問題ではなく、基本的な傾向としては、年齢とともに口の機能が衰えていくという事実です。

【図表2】10代、20代ですでに口に衰えが見えはじめている人が4割以上
出典=『口の強化書
【図表3】10代は70代と「噛む力」がそんなに変わらない?
出典=『口の強化書

食べ物が変わって口が老化した現代人

これまで、若年層の口腔機能の衰えについて見ましたが、そもそもなぜわたしたちが噛まなくなってきているのかというと、時代とともに食べ物が変化してきたのも理由のひとつです。

かつて、ウェストン・プライス博士という、むし歯がなぜ世界中で増えたのかを調べた歯科医がいました。

彼は世界各地のさまざまな食生活や栄養について研究し、特に小麦や砂糖、加工植物油脂類をはじめとする、いわゆる西洋式の食生活が栄養不足を引き起こし、多くの歯の問題の原因になっていると主張しました。