健康を保つにはどうしたらいいか。耳鼻科医の桂文裕さんは、「舌のストレッチをするとサラサラとした唾液の分泌量を増やすことができる。この唾液には、細菌や食べかすなどを洗い流す効果があり、がんや歯周病の予防に効果的だ」という――。

※本稿は、桂文裕『舌こそ最強の臓器(舌ストレッチ動画付き)』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

よだれを出す赤ちゃん
写真=iStock.com/Brosa
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舌が衰えると唾液が減少する

舌力ぜつりょくの衰えは、実にさまざまな体の不調を引き起こします。

ここでは、舌と唾液との関わりにフォーカスしてみましょう。

唾液は知られざる多くの作用を持ちますが、舌力が低下するとその分泌が減ってしまい、口のなかばかりではなく全身に悪い影響が広がってくるからです。

唾液には、おもにサラサラした唾液(漿液性唾液しょうえきせいだえき)と、ネバネバした唾液(粘液性唾液)があります。それぞれ分泌している唾液腺が異なり、役割も異なっています。

「サラサラ唾液」と「ネバネバ唾液」の違い

サラサラ唾液を出すのは、主に大唾液腺の耳下腺じかせん

耳下腺は、唾液腺のなかでもいちばん大きく重さは25gほど。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)で腫れるのが、この耳下腺です。

ネバネバ唾液を出すのは、主に舌下腺。口の底にあたる口腔底の粘膜の下にあり、耳下腺の10分の1ほどの大きさしかありません。

アゴの下にある顎下腺は両方の性質を持つ唾液を出しています。

【図表1】唾液腺の場所
唾液の種類ごとに出る場所が異なる(『舌こそ最強の臓器』P.74より)

2つの唾液が持つ作用を次の表にまとめました(図表2)。

【図表2】唾液の種類と作用
舌こそ最強の臓器』P.77より