③「組織のバランスが崩れるのでは」
Cさん(30代)は営業企画として実績を上げてきた方。販路拡大を目指す企業の営業企画ポジションに応募しました。Cさんもやはり、面接の場でご自身の経験と実績をしっかりとアピール。しかし、AさんともBさんともまったく異なる理由により採用を見送られたのです。
その理由とは、「組織のバランスが崩れるのではないか。既存メンバーにマイナスの影響を与えるのではないか」というものでした。
その企業は、販路拡大にあたり新たな「X」のマーケットの開拓ができる人材を求めていました。そこで、Xマーケット向けの営業企画経験を持つCさんを面接に招いたのですが、面接の場でCさんは「Z」マーケットでの実績についても強くアピールしたのです。
実はその企業には、すでにZマーケットの開拓を任されているメンバー・Dさんがいました。新卒入社し、営業として実績を上げて営業企画職に抜擢された、その社内ではエースとして期待されているメンバーです。採用担当者は、Cさんを採用することによる、Dさんへの影響に懸念を抱いたのです。
「CさんはZマーケットでの実績に自信を持っているから、そちらにも関わろうとしそうだ。実際、DよりもCさんの方がノウハウを持っている。しかし、Zマーケットを入社したばかりのCさんに任せたら、Dのモチベーションが下がってしまいそうだ。幹部候補として育ててきたDの立場と気持ちを尊重したい」
このケースのように、既存社員とのバランス、組織全体のバランスを考慮し、「優秀だけど受け入れられない」と判断するケースもあるのです。
ちなみに、入社後に直属の上司となる人が面接を担当し、「自分より優秀な人物だ。この人が入社したら、自分のポジションが脅かされるかもしれない」という危機感を抱き、不採用にするようなケースもあります。
これらの不採用理由は、応募者が事前に気付いて対策することはまず不可能です。このようなケースもあり得ることを理解し、「自分は評価されなかった」とムダに落ち込まないようにしましょう。
盛ったり控えたりする必要はない
以上、経験と実績をしっかりアピールした結果、逆効果につながるケースをご紹介しました。これらの落とし穴にはまらないようにするために、以下の2点を意識して面接対策を行ってください。
● 企業側がどんな役割や活躍を期待しているのか、事前の企業研究によってつかみ、自身の経験の中からそれに該当するポイントをピックアップしてアピールする
● 過去の実績を伝えるだけでなく、「これからどうしたいか」「何を目指すのか」という将来ビジョンを語れるようにしておく
いずれにしても、「盛る」ことも「控える」こともせず、等身大の自分を伝えることで、本当に自分にフィットする企業とのご縁が結べるでしょう。