本気の口説きに真面目に答えてはいけない
そうはいっても、お客様も生身の人間です。めったに口説かないお客様であっても、その「めったに」が起こるときがあるのです。
「○○ちゃん、少しリフレッシュしたほうがいいと思うから、今度温泉行かない?」
「この前、海が好きだって言っていたでしょう。海が見えるプライベートルームで、美味しいもの食べて息抜きしませんか?」
「今度海外に行くのだけれど、よかったら一緒に来る?」
など、ゆっくりした口調ながらも、突然ストレートに誘ってくるので驚きます。めったに口説くことがないだけに、かえって印象も強烈です。その表情からも、並々ならぬ本気度が垣間見えることがあります。
このような突然のアプローチに、慣れないホステスは「忙しくて、ちょっと行けないです」と、つい真剣な表情で真面目に答えてしまいます。
それも無理のないことです。
少し接客に慣れてきたホステスだと、「うわ〜素敵ですね。行きたいけど残念、しばらくは行けないです」と、笑顔でお客様を立てながらさらりと断ります。お客様も「あ、そう」とか「フラれちゃったか」とか言いながら苦笑いですませます。
しかし、ここから上手に別の話題に変えていかないと、しばらくは少し気まずい、違和感のある雰囲気が続いてしまうことがあります。
終始笑顔で上手にはぐらかす
それでは、人気の高い評判のホステスはどうでしょうか。
心では汗をかいていても、表立ってはお誘いを断りません。
「え、断らないの⁉」と驚きますよね。
まさにそれが、マル秘術なのです!
断りはしないのですが、その代わりちょっと粋な相手の立て方をして、口説きを上手にはぐらかせてクローズさせるのです。
もちろん終始笑顔で、一瞬たりとも顔色は変えません。
「すごくおモテになるお客様が何をおっしゃいますか!」と、相手がモテることを伝えながら(ここポイントです!)、プチ調教するのです。
すると、大抵のお客様は「モテないよ、僕は」と言ってこられます。
ホステスはさらなる笑顔で「そんなご謙遜を(笑)。お店の女の子は皆○○さんの大ファンですよ。○○さんったら本当に謙虚で素敵ですね」とかわします。
そして「そんな素敵な○○さんに乾杯!」と言って、それ以上その話題にならないような楽しい雰囲気に流れを変えていきます。
ちょっとアグレッシブな乾杯ですが、お客様は完敗です(笑)。