相手の誘いを、うまくかわすにはどうすればいいか。コミュニケーション・アドバイザーの森優子さんは「夜の銀座でまれにお客様から口説かれたとき、慣れないホステスはつい真剣な表情で真面目に答えてしまう一方で、人気の高いホステスは表立って誘いを断らず終始笑顔で上手にはぐらかす。さらに上手の銀座ママは魔法のようなトーク術で逆質問し、結果的にお店の売り上げにつなげてしまう」という――。

※本稿は、森優子『相手を立てるのがうまい人 仕事・人間関係がポジティブに変わる!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

ワイングラスが置いてあるすぐ近くで手をつなごうとしている男女
写真=iStock.com/NadyaPhoto
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夜の銀座の粋な対処法

前の項目では銀座のママや評判のよいホステスが、お客様を立てるのがプロ級で、「ここぞ」のときにはカツを入れられるホステスが、お客様から一目置かれるということをお伝えしました。

この項目では銀座ならではの、粋な接客術をご紹介しましょう。

これはちょっとしたマル秘術です(笑)。

銀座のクラブに来られる常連のお客様は、めったにホステスを口説きません。

なぜなら、常連のお客様の目的はホステスに会うことだけではないからです。

あくまでも私の知る限りですが、常連のお客様の目的は気持ちよく得意先を接待することや、日々社会の中で戦っている同志として、ママやホステス、ときには黒服の顔が見たくて来店するのです。

ウイットに富んだユーモア溢れる男性の中には、銀座で粋な会話を楽しみたいと思っていらっしゃる方が多いものです。そうした男性は心に余裕があるため落ち着いた雰囲気があり、決してガツガツしていないのが特徴です。

そのため、お気に入りのホステスがいても、まるで娘や妹を応援するかのごとく出勤前に時々、夕飯を食べるくらいで、そこには疑似恋愛のカケラも見えません。もしかしたら見せないように努力しているのかもしれませんが(笑)。