お客様を仰天させた私の返答

そうそう、アグレッシブといえばあるお客様のことを思い出しました。

常連のとても優しいお客様が酔った勢いで「あなたはいつになったら僕と旅行をしてくれるんですか」と言ってこられたことがありました。

このとき私は「努力が足りない(笑)。あと100回お店に来てくれたら考えます」と言ってお客様を仰天させたのです。

今思うと、ずいぶん強気なことを言ったものです(汗)。

優しいお客様は「あと100回? こりゃ参ったなあ〜」と言いながらママを呼び、「あと100回来なさいって言われちゃったよ」と笑って、話を流してくれました。

えっ? 結果ですか? 

お客様が100回ご来店する前に、私は銀座を卒業しました(笑)。両親の介護があったためです。

銀座ママの魔法のトーク術

最後に、銀座のママの魔法のようなトーク術を特別にお伝えしましょう。

ママも当然、お客様に口説かれることがあります。

そんなとき、ママは「私のこと、運命の女性だと思ったの?」と逆質問するのです。当然お客様は「そう、ママは運命の人だよ」と答えます。

するとママは「運命の赤い糸?」と聞きます。

「そう、赤い糸だよ」とうれしそうに答えたお客様に、ママはさらりとこう言うのです。

「赤といえば、赤ワイン。じゃあ、お祝いに赤ワインで乾杯なんていかが?」

さすがはママです!

すっかりママの魔法にかかってしまったお客様は、赤ワインを頼まないわけにはいかなかったのです(笑)。

グラスに注がれた赤ワインとは別に包装を解かれたワインボトル
写真=iStock.com/zoka74
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