子どもが扶養から外れると17万円の損に

子どもが大学生であれば、多くの場合、19歳から22歳までの「特定扶養親族」に該当しますから、親が受けられる控除額は63万円です。勤労学生控除より控除額は大きいですし、所得が高いほど所得税の税率は高くなります。

たとえば、親の所得税率が20%の場合(※3)、63万円の控除が使えないと所得税は12万6000円も増えてしまいます。住民税だと特定扶養控除が45万円ですから、税率10%として4万5000円も増え、合計すると17万1000円もの損となってしまいます。

世帯で見たときには、子どもが親の扶養を外れないようにするほうがお得というケースがほとんどでしょう。

さらに、アルバイト収入が130万円以上になると、親の加入する社会保険の被扶養者になっていた人は自分で国民健康保険に加入するか、要件を満たせばアルバイト先の健康保険に加入することになり、それまではかからなかった保険料負担が発生します。

もう1点注意したいのが、アルバイトの契約形態です。雇用ではなく業務委託の場合、給与所得控除は使えません。収入から交通費などの経費と基礎控除48万円を引いた金額が課税所得ですから、収入が103万円以下であっても扶養の枠を外れてしまう可能性があります。

子どもが「アルバイトに熱心」という人は、収入だけでなく契約形態も含めて、今一度確認をすることをお勧めします。

(※3)課税所得330万円~694万9000円

最近始まった「所得金額調整控除」の対象者

次に、子どもがいないか、いたとしても16歳未満で控除対象外であるとか、配偶者の収入が扶養の範囲を超えているという人について見ていきます。

このような人にとって、勤務先に申告する扶養親族はいませんから、年末調整はせいぜい生命保険料控除などを受けられるくらいという認識かもしれません。実はそこが落とし穴で、受けられる控除を見逃している可能性があります。

見逃しやすい控除というのは、2020年から導入された「所得金額調整控除」です。控除が適用になるのは、「給与収入が850万円超で所定の要件に該当する人」と「給与と年金の両方を得ている人」です。まず、「給与収入が850万円超で所定の要件に該当する人」を見ていきます。