パワーカップルなら約10万円のお得に

まだ1年間の収入が確定しない時期ではありますが、微妙な場合もとりあえず記入しておきましょう。要件に該当しなければ適用されないだけで、ペナルティがあるわけではありません。

もう一つ、見落としやすい点が、夫婦ともに給与収入850万円超の場合です。いわゆるパワーカップルですが、扶養控除などのように、どちらか一方のみが受けられるというものではありません。要件に該当すればいずれも控除が受けられるので、前述の例でいえば、夫婦で約10万円お得になります。くれぐれも取りこぼしのないようにしてください。

実は、所得金額調整控除は「給与と年金の両方を得ている人」も適用になります。正式には「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」といいます。こちらの控除は年末調整ではなく確定申告をする必要があります。

ラップトップを操作するシニア男性
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです

年金と給与の「ダブル所得」がある人は確定申告を

前述の2020年改正では、給与所得控除額と公的年金等控除額のいずれも10万円引き下げられ、代わりに基礎控除額が10万円引き上げられました。給与所得と年金所得の両方を得ている人にとっては、実質10万円の増税にあたるため、控除を適用することによって調整を図るものです。

給与所得控除後の給与の金額と、公的年金等にかかる雑所得の金額の合計額が10万円を超える人が対象で、控除額の計算は以下のように行います。

控除額={給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円

この控除は、先にご紹介した「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」との併用が可能です。「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」が先に適用され、適用後の給与所得の金額から、上記の計算式で算出した控除額を差し引きます。