渡邉美樹氏が「詫び状」を添削!
×Before
(1)言い訳と受け取られかねない表現は厳禁。燃えさかっている顧客の怒りに、さらに油を注ぐ事態になりかねない。
(2)報告が書面の日付の1週間先では、あまりに遅すぎる。原因の究明と顧客への説明を、とにかく迅速に行わなければならない。
(3)型どおり入れた一文と思われるが、今後について言及する時期ではない。関係が修復不能になる可能性もある。書面の言葉には一つ一つ神経を使うこと。
(4)謝罪する意思を明確に伝えるには、まずは何があっても顧客の元を訪れて直接謝罪すべきだ。謝罪という場面では、書状はあくまで補助的なものと考える。
○After
(1)いかなるときも非は自分に
たとえ顧客の側にも多少の瑕疵があったとしても、起こったことのすべて「以上」が自らの責任と考えることが原則。
(2)100%ではなく120%悪い
こちら側が悪いのだから、言い訳などしていては、謝罪の本気度はまったく伝わらなくなる。
(3)直接謝るのが大原則
何か問題が起こった際には、1も2もなく直接面会して謝るのが大原則。「まずは文書で」などという態度では、顧客の理解はいつまでたっても得られないだろう。
(4)迅速な対応が企業の存続を左右
たとえ些細な問題でも、迅速に対応できなければ事業の存続すらおぼつかない。顧客にとって、自社に代わる企業などいくらでもあるという危機感を常に持つことが必要だ。
(5)情報は出し惜しみしない
問題点、社内体制、トラブルの発生プロセスなど、すべてを隠さず開示すること。顧客の信頼を取り戻すには、透明性を徹底的に高めること。都合の悪いことを隠したり、隠したと思われたら、会社の致命傷になりかねない。
1959年生まれ。明治大学商学部卒業。86年、ワタミ設立。外食や介護、高齢者向け宅配事業、環境、農業などの事業を展開。2003年より郁文館夢学園理事長。09年より現職。