日本が米英に追随しすぎるのは失敗のもと
日本は、ウクライナ問題でも同じだが、英米の走狗として動きすぎだ。たしかに、日米同盟などを外交防衛の基調にしている以上、欧米と同調する必要はある。
ただ、先頭に立つ必要はない。小泉純一郎政権はブッシュが怪しげなイラク戦争を始めることを真っ先に支持した。現在では否定的な評価が圧倒的であり、同じくブッシュ政権に寄り添いすぎたブレア元英国首相は強く糾弾されている。
最近、イスラエルを訪れたバイデン大統領も、「9.11後、米国は怒りに燃えた。正義を求めたが、過ちも犯した。イスラエルは慎重に行動の目標を明確にすべき」とした。湾岸戦争で軍事的貢献がないことで立場を失ったことの反省から、当時の小泉首相はまっさきにアメリカを支持して批判を回避した。得たものもあったが、世界が疑問を持った誤った戦争をけしかけて道義を失った。その過ちを繰り返すべきでない。
ATMとしての役割で終わっていいのか
第2次世界大戦後を生きてきた人間にとって、パレスティナ問題は心の傷であるし、私にとってもそうだ。そこは、パレスティナ人の土地であり、イスラエルが行ったひどいテロを含む暴虐の限りをパレスティナ人が容認する必要はまったくない。
ユダヤ人が欧米社会で受けた苦難や、自らの国を持ちたい願望も理解できるし、優れた国づくりは中東において模範だが、それがパレスティナの人への暴虐を正当化するものではない。日本人がパレスティナの人々への後ろめたさを持たないとすればモラルに欠ける。
そして今、安倍晋三元首相が生きていたらと思う。安倍元首相は、イランやその友好勢力抜きでの中東和平などあり得ないことをよく理解していたし、トランプ大統領との信頼関係を背景に、アメリカの一部の人たちの抵抗を押し切ってイランを訪問し、大歓迎を受けた。ウクライナ問題に続き、パレスティナ問題でも安倍元首相のいない日本外交が、従来の現金自動支払機(ATM)として重宝がられるだけの存在に戻ってしまったことが残念だ。
また、安倍路線継承という自民党内や日本保守党を支持する自称保守派が、イスラエルや米国政界内ですらイスラエルの代理人的位置づけのエマニュエル大使べったりでイスラエル全面支持なのは評価できない。彼らは、日本人はGHQのWGIP(洗脳プログラム)から脱してないと言って批判しているにもかかわらず、実際に従米史観の走狗となっているのが自分たちだという自覚を持ったほうがよろしかろう。
イスラエルにもパレスティナにも直接的な利害関係を持たない日本は、欧米諸国とは異なる立場から問題解決にアプローチすることが可能だ。そのためにはまず、日本人がこのパレスティナ紛争の歴史的経緯を知ることが第一歩になる。