中国の半導体産業はこれからどうなるのか。ジャーナリストの福島香織さんは「日本は2023年7月から半導体製造設備領域23品目の対中禁輸を実施している。世界の半導体製造装置のトップ15社のうち7社は日本企業であり、中国企業はまだまだ弱い。中国の半導体国産化は難しい状況に陥っている」という――。

※本稿は、福島香織『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房)の一部を再編集したものです。

「半導体三国同盟」が中国を追い詰めている

米中半導体戦争が新たなステージに入った。

米国はオランダ、日本との「半導体三国同盟」で、中国の半導体産業包囲網を形成している。

2022年10月、米国商務省は包括的な法律を可決し、特定の研究実験室や商業データベースセンターが先進的な人工知能半導体を取得することを禁止するとともに、その他の制限措置も盛り込んだ。

米国はさらに、日本やオランダを含むパートナーに半導体製造設備を中国に輸出しないようロビー活動を行った。

アメリカと中国
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米中の支援合戦が続く(※写真はイメージです)

米中の支援合戦が続く

一方でバイデン大統領は同年8月にチップ法案に署名し、米国の半導体生産と研究に527億ドルを支出し、240億ドル相当の半導体工場の税収を控除している。

これに対して、中国は1兆元を超える半導体産業支援計画を打ち出している。これは中国の半導体自給自足(国産化)に向けた重要な一歩と位置付けられている。

計画では、中国企業が国内の半導体設備を購入するための補助金に大部分の財政支援が充てられる。主に半導体製造工場、ファブの建設費用であり、企業は建設コストの20%の補助金を得られるという。

最近の中国における財政出動の中では最大規模で、5年にわたり、国内の半導体生産と研究活動に対して、補助金や税金免除などの支援を行う。

米国の対中半導体産業圧力に対抗するには、中国としては半導体産業の国産化の道しかないのだ。

この発表を受けて、香港市場の中国半導体関連株が爆上がりした。

中国のこの新たな計画の受益者は、半導体産業の国有企業と民営企業、特に大型半導体設備企業、ファウンドリだろう。

たとえば北方華創科技術集団(NAURA)やKingsemiなどだ。

実際、こうした中国半導体製造業の株価は急上昇した。