「15兆円の補正予算」で消費減税できる

いま岸田首相は「補正予算」に向けて動いているらしいが、補正予算の規模について自民党の世耕参議院幹事長は「最低でも15兆円、できれば20兆円」と語っている。

ただ、15兆円の財政出動ができるなら、消費税を半分の5%に減税できるはずだ。消費税収は約30兆円(地方税部分を含む)なので、5%に下げても15兆円しかかからない。15兆円、20兆円という規模の補正予算を組むよりも安くつくはずだ。

補助金の支出だと特定の層だけに恩恵が行くという問題があるが、消費減税なら広く公平な措置であり、その効果は世界的にも実証されている。

自民党の「積極財政議連」が消費税の5%への減税措置を訴えているものの、岸田政権が取り上げる気配はない。消費減税だけは絶対に議論させたくない、というのが財務省の意志だからだろう。

岸田首相が知るべき「通貨発行益」

岸田首相は、「政府は財政を均衡させなくていい」という経済の大原則を理解すべきだ。

一般の家庭や企業、地方自治体等であれば、「収入と支出を一致させる、あるいは支出が収入を下回るようにする」のは当然のことだ。

だが、通貨を発行できる政府は通貨発行益を得られるので、収入以上に支出することができる。

明治維新の際、明治政府は「太政官札」という貨幣を発行し、その発行益で様々な改革を推し進めた。

その後も、第2次世界大戦を戦う際、その戦費は戦時国債を日銀に引き受けさせて捻出ねんしゅつした。

戦後、米軍が沖縄を統治した際は「B円」という軍票を発行し、その発行益で基地を整備した。

このように、政府は家計と違って通貨発行益を活用できるのだ。

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政府は通貨発行益を得られる(※写真はイメージです)