インボイス制度は実質的な増税
岸田首相には増税をしている自覚がないようだが、政権発足以降、さまざまな増税が実施、あるいは実施に向けた議論が進んでいる。
この10月1日からは「消費税インボイス制度」が導入されている。これまで消費税の免税事業者だった個人事業主にとって実質的な増税であるのは間違いない。財務省はインボイス制度によって約2500億の税収増を見込んでいるという。
酒税についても、ビールの税率が下がったとはいえ、発泡酒の税率が上がったのは、庶民にとって実質的な増税と言えよう。
また、政府税制調査会においてサラリーマン増税が議論されたことも記憶に新しい。年末の与党税調で決定されれば、新たな増税が決まることになる。
ほか、岸田首相肝入りの「異次元の少子化対策」についても、経団連が「少子化対策の財源として消費税増税を」と主張したばかりだ。
防衛費の増額にともなう「防衛増税」についてもまだ消えたわけではない。
これだけ「増税増税」と繰り返しているのだから、「増税メガネ」いや「増税クソメガネ」と言われるのは当然だ。それが分からないほど視力が落ちているなら、岸田首相は本当にレーシックを受けたほうがいいだろう。
増税の一方で「70兆円ボロ儲け」
岸田首相は単に「増税メガネ」なだけではない。「緊縮財政メガネ」でもある。
岸田政権になって以来、日本はものすごい勢いで財政を引き締めているからだ。
コロナ禍が始まった2020年度の日本政府の財政赤字(決算時)はプライマリーバランスで見て約80兆円もあった(この数字は財務省にとって都合が悪いのか、財務省の資料にほとんど出てこない)。
一方、2023年度のプライマリーバランスでの財政赤字(予算時)は約10兆円。
たった3年で政府の赤字は70兆円も減っているのだ。
財務省から見れば「70兆円も財政赤字を改善した」ということになるだろう。だが、われわれ国民から見れば「政府が70兆円もぼろ儲けした」のであり、その分の需要が減り、景気の悪化を心配しなければならない。
70兆円もボロ儲けしながら、ガソリン税の減税すらやらず、社会保障を削り、インボイス制度で個人事業主・中小企業いじめをやっている。
岸田政権・財務省の経済オンチぶりには呆れるほかない。