<粉飾決算や各種業法違反をきっかけに倒産する企業が過去最多ペースで増加している背景には、解決を先送りにしてきた日本経済の根深い問題がある:加谷珪一>
ビル群を背景にした経済チャート
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このところ粉飾決算による倒産が増加している。以前から粉飾決算が発覚して倒産・廃業するケースは一定数、存在していたが、コロナ危機で手厚い政府の支援策が実施されていたことで、経営不振が表面化しにくい状況だった。

だがコロナからの景気回復に加え、金融正常化に伴う金利の上昇で銀行のスタンスに変化が生じ始め、これによって企業の資金繰りをめぐる環境が変わってきた。今後は、粉飾決算の表面化や倒産がさらに増える可能性がある。

帝国データバンクの調査によると、2024年1月~9月期における粉飾倒産(粉飾決算や各種業法違反をきっかけとした倒産)の件数は、前年同期と比較して27.6%増加し、3年連続で前年同期を上回った。このペースで倒産が続いた場合、24年通期においても、最多件数を更新する可能性が高いという。

企業が不正会計を行っていた場合でも、資金調達環境に大きな変化がなければ、そう簡単には外部に発覚することはない。粉飾決算を行う企業は、どの書類(あるいは数字)をどう変えれば外部から疑われないのか熟知しているので、取引先や金融機関側が、不正の存在を前提に動かない限り、表面化しにくいのが現実だ。

プロが見れば、粉飾が行われていることは何となく把握できるものの、十分な証拠がない状況で対応するのはかなり難しいといってよいだろう。