入試問題を解くのが楽しすぎて合格後も、受験し続けた

2人目は、小5の秋に、本人が「地元の中学校に通いたくない」という理由から中学受験を志望し中堅塾に通うようになり、横浜女学院中学校に進学した家庭。毎年、早慶やMARCHの合格者を出している学校ですが、この娘さんの場合、本が大好きだったことが受験の決め手になりました。体験授業に参加した際、好きな本を読んで探究するリーディングという授業を受けて、「この学校に入ってこの授業を受けたい!」と熱望し、この学校だけを受験したそうです。受験科目は国語と英語の2科目。「入試問題を解くのが楽しすぎて、初日に合格した後も、受験し続けた」という逸話の持ち主です。

3人目は、自分が真剣に取り組んでいるドローン競技を続けることを最優先として、それを認めてもらえる中高一貫校を志望した男子児童。自己アピール型の新タイプ入試(思考・表現型)でドルトン東京学園中等部に合格・進学しました。この子は、年の離れた兄が中学受験をしたことから、親が受験をさせたいと4年生から中堅塾で4科目受験の準備をしていましたが、あまり勉強に身が入らないまま、途中からドローン競技に夢中になり受験勉強との両立が厳しくなっていったん受験をやめる決意をしました。

写真=iStock.com/evandrorigon
※写真はイメージです

ところが、その後「公立中学に行ったらまた高校受験で両立できなくなる。それならやりたいことと両立できる環境を得ることを目的に中学受験をしよう」と思い直し、個別指導塾に入り直して受験準備を再開。そして、2科目と新タイプ入試で問われる作文の対策に絞って勉強をし、見事第一志望校に合格しました。

母親は当初、偏差値の価値観からなかなか離れられませんでしたが、筆者との対話を通して徐々に受験の目的を考え直し、子供のやりたいことと学業の両立という希望を叶えられそうな学校をいくつか選んで受験した結果、自分の偏差値以上の学校に合格を果たしたのです。

以上、三者三様の受験ストーリーですが、こんな受験スタイルもあるのです。もちろん3つの家庭も、いつも平和だったわけではありません。たくさんの葛藤があり、やる気を見せない子供を責めたり、親が不安をぶつけて喧嘩したりすることもありました。それでも、最終的には子供の良き理解者であろうとし、いい関係を作ったからこそいい結果を得られたのです。

受験が成功するかどうかは「親子関係が9割」と言ってもいいでしょう。それくらい、受験では親が試される場面が多く、葛藤が生まれますが、その葛藤は親子を成長させてくれます。

成長といえば、こんな事例もありました。

塾に行かずに通信教材だけで勉強していたものの途中でやめていた小6男児が、入試3週間前になって、クラスの友達が受験に向けて真剣になる姿に刺激を受けて、「自分も受けたい」と言い出したという珍しいケースです。残り3週間、猛勉強をして2月1日以降、3校を受験し、なんと2校に合格したそうです。

両親は、記念受験で終わらせないためにこの先どうするのか、子供を囲んで真剣に話し合いをしたそうです。その結果、「息子の気持ちはもう高校入試に向かっていたので、公立中に進学することを決めた」と母親は言います。本番の試験を体験したことで、息子は「もっと早くから頑張っていたら、違う結果を手に入れられたのかもしれない!」と実感し、初めて自分ごととして受験を捉えられるようになったのです。

受験は、どんな結果であろうと、親子が成長できるまたとない機会です。これから受験をされる皆さんが、最終的にやってよかったと思える受験になりますように。心から応援しています。

関連記事
【関連記事】早大入学の意外な穴場…難関付属一貫校「早大学院」は早実中や早稲田中より入りやすく内部進学率は何と96%超
【関連記事】内部進学率の高いMARCH付属校を一気見せ…偏差値30台だった前身女子校が59に爆騰した中央大付属校は8割超
低学年から塾通いの子ほど5年生以降で成績が急降下する…中学受験の"長文化"に対応できる読解力の伸ばし方
偏差値35からMARCHすべてに合格…「大学受験は無理」と言われていた女子高生が使った「入試のウラ技」
「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧【2022上半期BEST5】