高校3年生の時、河上さん(仮名)の偏差値は35だった。希望する大学への進学は絶望視されていたが、受験戦略を見直したことで、出願したすべての難関私大に合格した。どんな戦略を立てたのか。現役東大生の西岡壱誠さんが企画した選抜入試専門塾クラウドセンバツによる著書『選抜入試の教科書』(星海社新書)より紹介する――。
入試の勝利を願ってだるまの左目に墨を入れる
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出願した難関私大すべてに合格

ここからは、実際に選抜入試に挑戦した受験生がどのような受験戦略を取り、合格を勝ち取っていったのかをお届けします。

選抜入試の受験を決めるまでの悩み、実際の試験対策、大変だったことや効果的だったこと、実際に受験しての反省まで、選抜入試の一部始終を3名の合格者にインタビューしました。

偏差値35からの逆転合格、ユニークな点がない中で戦略的に行動しての合格、一般入試と選抜入試の対策を両立させての合格など、選抜入試の合格者は本当に個性的です。みなさんも選抜入試を考える上で、合格者の生の声を参考にしてください。

まずは地元の群馬県から総合型選抜で大学受験をした、河上さんにお話を聞いてみました。彼女は高校3年生のときの偏差値が35、評定平均も2.5とかなり厳しい状況でした。しかし、そこから彼女はMARCHを目指し始めます。先生からも親からも「無理だ」と言われる中で、彼女が立てた完璧な受験戦略は、なんと出願したすべての難関私立大学に合格できたほど成功しました。

普通の高校生とはちょっと違う

ただでさえ成績が逆風な中で、出願したすべての大学に合格とは、なかなかできることではありません。それでは、河上さんは、一体どのような高校生活を送っていたのでしょうか?

「私はもともと、いわゆる普通の高校生とはちょっと違う生徒でした。パナソニックのスピーチコンテストでファイナリストになったり、学生団体を立ち上げて難民支援活動を行ったりと、多分野にわたって活動していたんです。テレビや新聞の取材を受けることも多かったのですが、先生からは低評価でした。学校の勉強も全然頑張っていませんでした。でも、あるとき、AO入試という道があることを知ったんです。学校の成績が悪い私でも、面接やライティングならできる! と思いました」

テレビや新聞の取材を受けるほどの活動をされていた一方で、いまいち学校の勉強には身が入らなかったという河上さん。そのせいか、成績が低迷気味だったといいます。しかしながら、その活動は本物でした。ここから彼女はAO入試という選択肢と出会い、大学受験を本格的に志すようになります。