政府目標の達成は容易ではない

2023年の政府目標は「5%前後」である。7月17日の国家統計局発表によると、上半期(1〜6月)の実質GDP成長率は5.5%。政府目標を達成するには、下半期に4.5%の成長を遂げる必要があるが、それは容易ではない。

今年の4〜6月期の実質GDP成長率は、前期比年率で+3.2%である。プラスではあるが、1〜3月期は+9.1%だったので、春以降、中国のGDP成長率は大幅に低下しているのである

企業の景況感も悪化している。PMI(購買担当者景気指数)をみると、8月の非製造業は51.0と今年で最も低い水準だった。製造業に至っては49.7と50を割り、むしろ不況の方向に進んでいる。新規受注が思ったように伸びていない。

中国人の「爆買い」はもう期待できない

中国経済の不振の原因の一つとして、個人消費が伸びていないことが挙げられる。

7月の名目小売り売上高は前年同月比で+2.5%であり、6月の+3.1%を下回っている。賃金上昇率がコロナ禍前の水準以下であり、これでは個人消費は伸びない。

また、6月の若年(16〜24歳)失業率は21.3%という高い数値であった。

国家統計局は、8月15日に発表する予定の7月の若年失業率の発表を、「測定方法を改善する必要があるため」という理由で取りやめた。若年失業率増加への当局の懸念を示している。

将来への不安から中国人がかつてのようにお金を使わなくなっているようである。団体旅行の解禁で中国人観光客が日本に戻ってきても、これまでのような「爆買い」は期待できないかもしれない。

写真=iStock.com/TkKurikawa
中国人の「爆買い」はもう期待できない(※写真はイメージです)