「疲れたけど楽しかった」なら印象はまったく変わっていた

それ以降、その人をお誘いするのは気が引けて、声がかけにくくなってしまいました。同じことでも、こう言われていたらまた違っていたかもしれません。

「今日はありがとう。ちょっと疲れはしたけれど、とても楽しかった。またぜひ!」

疲れたということもきちんと伝えてはいるのですが、受け取る印象としては「楽しかった」「また行きたい」という方が強く残り、次もまた誘いやすくなりますよね。

言葉というのは、小さな出し方の違いが、大きな受け取り方の違いを生みます。

最初の印象も大事ですが、最後の印象がもっとも強く、そして相手の中に長く残ります。もっとも伝えたい言葉、もっとも受け取ってほしいものこそ、意識して最後にしっかり渡していきましょう。

ほとんどの人は反射的に言葉を選んで発している

普段の会話において、私たちはかなり反射的に言葉を選んでいます。多くの場合、そこに意図的な理由はなく、「言い慣れているから」「頭に浮かんだから」という理由から無意識に言葉を選んで会話をしています。

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ところが、言葉というものは選び方をちょっと変えるだけで、会話の進め方を大きく変えてしまいます。何気なく使っていると、思いがけない方向にいき、誤解を生み出すことも少なくありません。

日本という国は、世界一ハイコンテクストな文化を持っていると言われています。

「コンテクスト」とは「文脈」という意味です。「行間を読む」「空気を読む」といった言い方に表されるような、言語外の要素に重きを置いた文化、ということです。

こうした文化の中でよりよいコミュニケーションを取るには、言葉そのものだけではない部分にも意識を向ける必要があります。

では、気がきく人はどこに気をつけているのでしょうか。

そのポイントの1つが、「ニュアンス」にあります。

「ニュアンス」には2つの種類があります。“ポジティブニュアンス”と“ネガティブニュアンス”です。私はこれを、“陽のあたる言い方”と“陰になる言い方”とお伝えしています。日向と日陰では温度も明るさも異なるように、言葉にも「温かさ・明るさ」や「冷たさ・暗さ」があるのです。