食料自給や再生可能エネルギー普及は「未来との支え合い」
保育所や大学や公共交通や住宅を公共サービスとして提供するのは、つまり「今を生きる人同士の支え合い」と言えます。
でも「支え合い」が意味するものはそれだけではありません。地球環境と国際情勢の変化によって、将来、戦争や気候変動で食料やエネルギーを調達できなくなるかもしれません。
こうした事態に備え、持続可能な暮らしを守るための営みを「新しい公共サービス」と位置づけて国が支援する必要があります。食料自給率を高める一次産業の下支えや分散型再生可能エネルギーの普及促進などです。これは「未来との支え合い」と言えます。
食料危機は起きないかもしれません。でも備えておかないと、いざという時に間に合いません。「火事は起きないかもしれない」からといって、消防のシステムを用意しない、なんてことはありませんよね。それと同じことです。
こういう施策は市場に任せると採算が合いません。採算が合わなくても必要なことは、政府が公共サービスとして行うべきなのです。
消費が伸びれば増税せずとも税収は伸びる
「まっとうな経済」についてお話しします。
経済を伸ばすためには、国民の購買力を高める必要があります。最低賃金の引き上げなどは欠かせませんが、その前に企業の売り上げ、収益が伸びていないと、民間企業は簡単に賃金を上げることはできません。先に経済を成長させないといけないのです。「ニワトリと卵」のようなものですね。
ではどうしたらいいのか。公的なサービスを担う人たちの賃金を上げるのです。
保育士や介護職員、看護師の人件費の大半は税金などの公的資金。この人たちの賃金は、政治が決めれば上げることができます。ここに税金を使うのです。
市役所の多くや公立の小・中学校の先生まで非正規職員化が進んでいます。この人たちの正規化を進めて待遇を上げることも、政治の判断でできます。こうした賃金の上昇分は間違いなく消費を増やすことにつながり、経済が回っていくきっかけになります。
先ほど「公共サービスの充実によって支え合いの社会を目指す」と言いました。そのためにはもちろん、一定の税収が必要になります。
でも、国内で消費が伸びれば、消費税の税率を上げなくても、税収は伸びます。国民の所得が上がっているのだから、所得税の税収も増えるでしょう。
その意味で、安倍晋三元首相が「増税の前に景気を良くする」と言ったことは正しい。ただ「アベノミクスでは結局、景気は良くならなかった」ということです。
われわれは消費を伸ばすために、国民の購買力、可処分所得を増やすことを重視します。そのために、公共サービスの担い手である非正規雇用の人や低賃金の人の賃金を上げることを訴えているのです。