「株価が経済の先行指数」は過去の話

「支え合いの社会」の実現に向け、私は以前から、富裕層や超大企業に応分の負担をお願いして、再分配機能を強化することを主張してきました。具体的には金融所得課税の強化や、税を納めるのを回避している人たちへの取り締まりの強化です。この考えは今も変わっていません。

私たちが「金融所得課税の強化」を言った時、岸田文雄首相がこれをまねようとして、結果として株価が大きく下落しました。岸田さんはそれ以来、金融所得課税の強化をすっかり言わなくなってしまいました。

われわれが金融所得課税を言っても同じことが起きるかもしれませんが、私は「株価が下がっても仕方がない」と考えます。「株価が高い社会を選ぶのか、病気になっても生きていけるような誰もが安心して暮らせる社会を選ぶのか」ということです。

「株価が経済の先行指数」という話は、完全に終わっています。今はすごい株高ですが、経済状況がいいとは全く言えません。それに今の株高の原因は、日銀が株を買い支えていること。株価が高い分、円が安くなっているのです。

大部分の国民にとっては、株価が下がっても円が高くなった方が幸せなはずです。海外からの輸入品の価格が下がるんですから。何より、原油価格が下がります。もし1ドルが100円になったら、物価は大きく下がりますよ。

撮影=門間新弥
衆院議員の枝野幸男氏

「消費減税」は富裕層から目を背けるためのワナ

私はこのことを堂々と言いたい。「株価を取るか、為替を取るか」です。私は為替を取ります。金融政策を駆使することで、もっと円を高くします。

公的資金を使って株価を買い支えるのは、富裕層への優遇策です。その結果円が安くなり、輸入品の多い生活必需品の値段が上がり、所得の低い人たちに負担がかかっているのです。株価が下がっても円を高くして、物価を下げなければなりません。

経済政策というとすぐに「消費減税」が注目されますが、これは富裕層が、自分たちにとって不都合なことに焦点が当たらないようにするために、消費税に注目が集まるようにしている、と私は考えています。

減税を言う前に、まず「税金を適正に払っていない人たちに応分の負担をしてもらう」べきです。「取る」話から逃げてはいけません。どうしても消費減税にこだわるなら、どうぞ維新や、共産党やれいわ新選組に投票してください。

……代表の時にはなかなかこういう発言ができないんですよね(笑)。